NHKアーカイブスを見て

1977年に放送された「男たちの旅路・シルバーシート」を昨夜のアーカイブスで見た。
山田太一の名作だ。
戦時中特攻隊員で、今は警備会社に勤める吉岡(鶴田浩二)が、若い部下たちとともに毎回事件に巻き込まれるドラマだ。今回の「シルバーシート」では、吉岡は年上の老人たちの生き方と向き合うことになる。
4人の老人たちが都電車庫の一車両に立てこもる。口を閉ざし立てこもった理由さえ話そうとしない老人たち。一夜明け、吉岡は老人たちを説得するため電車に乗り込んだ。そこで明らかになった老人たちの思いとは・・・。
ドラマを見終わって、その力強さに圧倒された。今から見ると、けっしてつくりが立派ともいえないセットであるし、VTRのロケもなめらかとはいえない。役者の芝居もリアルというのとは少し違う感じもある。
だが飛び交うセリフの重さ、配役の精確さ、繊細な心の動き、社会派ドラマのある頂点だと感心した。
キャスターの加賀美幸子さんが、このドラマで描かれている老人問題はけっして終わっておらず、今もわたしたちに警告を発しているとコメントを結んでいたが、まったく同感。
映画が社会的無意識を反映するとすれば、テレビドラマもしかりであろう。70年代、時代はなんとまっすぐに表現していたことか。
蛇足だが、かつてはともかく現在の山田太一の作品がなぜ今響きにくくなっているのだろうか。
それにしても、この山田が早大時代の寺山修司の第一の親友であったという奇縁が不思議でならない。
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