クレージーの素敵な仲間たち
昨土曜日、小雨が降り始めた午後6時。
六本木飯倉にあるサウンドシティに、植木さんをのぞくクレージーの面々が集まった。
桜井センリ、犬塚弘、谷啓の3氏である。現在、われわれが撮影している植木等ドキュメンタリーのテーマ曲の録音のためだ。
その曲「SUUDARA]は、息子の比呂公一が、植木等のために書き下ろした曲だ。むろん本歌のスーダラ節などを使用してはいるが、父の仕事をたたえてという、オマージュの曲だ。これに、ほかのメンバーがパートで参加してくれることになったのだ。桜井氏のピアノ、犬塚氏のベース、谷啓氏のトロンボーン。
曲の土台になる部分はあらかじめ比呂さんが作りこんである。そこに各パートをかぶせていくのだ。
簡単そうにみえたが、なかなか技がいる。
桜井さんが元の音を何度も聞いて、音の流れを確かめながら作り上げていく。じっと見守る犬塚、谷の両氏。
その真剣な作業に私はうたれた。
後で、比呂さんが語ったことによれば、生の演奏に合わせながら、音作りをしてきた桜井さんたちにとって、パートでのせていくという今風の方法にとまどいがあったのでは、ということだった。とまどいながらもプロとしての仕事をしっかり果たそうとする、メンバーの誠実さに私は感じ入った。
クレージーの音楽的支柱は谷さんだった。それを今日あらためて感じましたと比呂さんは語る。
ちょっとした音の運びでも、聞こえるか聞こえないかわからないほどのボソボソ声で、谷さんが何か言うと、メンバーは真剣に耳をかたむけ、じっと口元を見つめていた。
クレージーキャッツは正真正銘のジャズバンドだった。けっしてアチャラカだけのバンドではない。音楽性を二の次にしたバンドではなかった。あらためて知った。
短い曲「SUUDARA」にたっぷり2時間かけて録音した。その間、メンバー誰一人嫌な顔をせず
淡々と練習、本番をくりかえした。
クレージーの皆さんは、本当に「大人」だった。
この番組の放送日が決まった。
11月1日、午後8時から、110分。ハイビジョンの番組です。

比呂公一作曲、「SUUDARA]
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