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定年再出発  


懐かしい空
by yamato-y
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辻邦生『のちの思いに』を読んで

 仏文の人たち

辻邦生の『のちの思いに』を読んで発見したことがいくつかあった。むろん、そんなことは識者は知ってることかもしれないが、私には軽い驚きがあった。

辻は旧制松本高校から東京大学のフランス文学科に進学していて、いわゆる東大仏文の山脈に連なるわけだが、そこに出てくる人たちの消息をそこはかとなく知ったのだ。
この山脈はまさに綺羅星のごとく、逸材がいる。鈴木信太郎、渡辺一夫、森有正、中島健蔵、中村真一郎、鈴木力衛、山内義雄。
この周りに福永武彦、井伏鱒二、加藤周一といった人びとが連なるのだ。あ、そうだ私の憧れる悲劇の「外交官」、ハーバート・ノーマンもいた。


大江さんもそこの出身で、師である渡辺一夫のことは折に触れて語っている。この大教授は謹厳だが、内にある狂気をかかえていたのではないかと思うことが、今までも読んでいて思ったことがある。狂気とは危ないということだけではなく、アナキストのようなという意味も含んでいるのだが。第一、ラブレーなどというものを生涯にわたって研究するなど、常人では考えもつかないことだろう。
 辻が紹介するエピソードに渡辺一夫家の風呂場の話がある。手仕事の得意な教授は入浴用の小さな腰掛を作って、それに丹念にフランス語を刻み込んだ。「ぼくは君のお尻をなめたい」

もちろん、私はこの山脈とは無縁の大学出身だが、この仏文の匂いを私はなんとなく嗅いだ気になっていた。その理由が「のちの思いに」を読んでわかった気がする。
 ひとつは、大江さんだ。大江さんは師渡辺一夫のことを何かにつけ思い出し引用する。「昔、私は先生から叱られました・・・」といって、小説家デビューの頃を話しはじめることが多い。ノーベル賞のスピーチでも渡辺一夫を紹介した。最新作『さよなら、私の本よ!』でも主人公の先生として出てくる六隅許六とは渡辺一夫のもうひとつの名前だ。
 この渡辺――大江の師弟関係を通して、仏文山脈をなんとなく味わっていたなと思い当たる。

もうひとつの理由は、会社の先輩で名キャスターで解説委員であったKさんだ。Kさんも仏文出身で若い頃、パリ総局の特派員をつとめた人だ。当時総局長は磯村さんだ。
このKさんはジャーナリストとしては珍しい学究肌で、プライベートにマラルメを長年にわたって研究している。著作も多い。マラルメ研究の第一人者はかの鈴木信太郎だ。Kさんは鈴木の最後期の授業をうけたことがあるそうだ。
私がKさんを知ったのは、初めての海外取材のときでピカソの「ゲルニカ」の番組撮影だった。そのとき初めてKさんとともに仕事をしたのだがフランス仕込というかかぶれというか、最初キザな人と印象をもった。が、その後淡交のなかで、実体はまったく違いKさんの誠実さをたびたび知ることになる。
そのKさんの趣味というか研究テーマがマラルメで、特派員時代休日はせっせとセーヌ河岸の古本屋に通い、マラルメ関係の書籍を集めた。書籍だけではない。マラルメゆかりの品々もコレクションしたのだ。それが自慢だ。
 食事に招かれたとき、その収蔵品を見せてもらった。マラルメの愛人が使っていた楽譜の紙バサミとか思わず笑ってしまいそうなグッズを、さも大事そうに手にとって見せてくれた。そのときのKさんの得意げな目が忘れられない。(いい大人が・・・)と思うも、なぜか心に残った。

戦後まもないころ、新しい息吹としての文学運動のひとつにマチネ・ポエティックがあった。その中心人物が中村真一郎だ。仏文の有能な講師として若い人々に影響を与えていくのだが、その中から闊達な仏文の空気が醸成されたのだろう。そこには衒学的なことだけではなく、児戯めいた愛すべきエスプリがあったと思われる。
 その時代をつづった辻邦生「のちの思いに」は、体験したわけではない私のある懐かしさを覚えさせる。


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辻邦生『のちの思いに』を読んで_c0048132_16494793.jpg

by yamato-y | 2005-10-08 13:11 | 登羊亭日乗 | Comments(0)
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