定年再出発 |
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映画「蝉しぐれ」を見て
以前見た映画「雨あがる」と同じ読後感だった。映画的感興が起こらないのだ。 危惧していたとおりだった。 映画が終わって後ろの席を見ると、若い女が目をぬぐっていた。彼女に、原作はこんなものじゃないぞと教えたい気分になった。 おそらく、・・・おそらく監督は本職がシナリオ作家で、映画屋たちからあれこれ干渉され、とりあえずその意見をいろいろ取りいれたのではないか。過不足なく挿話ははいったが詰め込みすぎ。物語の筋目がおぼろになっているのだ。 以前から気になっていたが、映画関係者というのは妙なプライドとギルド意識がある。映画のことを本編と呼んだり、制作という語を使わず製作と区別したり。新参者や部外者に対していけずをするところがある、と私は感じたことがある。映画人は外に対してはきついくせに、クロサワとかオズといった巨匠になると、今度は手のひら返したみたいに卑屈になる。権威にも弱い。そういう輩に監督経験の少ない黒土監督はのせられたのではないか。 と、言いたくなるほど、あれこれ詰め込んだ映画に見え、魅力が薄く感じた。 不満はきりがないから、絞って記す。 父の屍を運ぶシーン。なぜ、妻女はそこにいないのか。原作どおりだからか。映像的には不自然だ。竹矢来の外で待っていてもいいではないか。夫が切腹になったのに家で待つとは。もしそうなら、妻女の家での悲哀が見えるか分かるかしないと、冒頭の仲のよい家族関係が宙に浮いたままとなる。 なぜ屍という不浄なものを乗せた大八車が目抜き通りを通るのか。城下の端またはかったい道のような場所を通らせるのではないか。そして、ふくが車を手伝うのは人の目のない山中の坂道ではなく、さげすみと同情のまなざしがそそぐ町中こそ、ふくの真情が出てくるのではないか。そういう視線もなんのそのと、がむしゃらに車を押すという、劇的仕掛けがあってしかるべきではないか。確認していないが、おそらく原作に忠実に描いたと思われる。が、活字と映像は違う。その特性を用いた劇的表現をしなければ、原作のなぞりになって、逆に原作の感動から離れると私は思うのだが。 きれいな絵はがきのような画造りばかり目につく。鳥海山を望む雄大な風景はそれなりにCGを使っても気にならないが、野良の景色はよくない。いかにもいますという百姓が多い。農村というのはもっと閑散としたものだ。田んぼを渡る風ももっと工夫すればいいのに。川岸の洗い場もなぜ正面からのいかにもの画ばかりなのだろう。おふくの小さな肩のけなげさみたいな背中越しショットがなぜはいってこないのだろう。 全体に画格が大きい。たしか山田洋次の「たそがれ清兵衛」はもう少し画をつめていた。やはり寅さんで土手風景なんかで手馴れていたのだろう。藤沢文学は森鴎外の歴史小説のような壮大さとは無縁に思う。とすれば、もっと世界の片隅でという視点、画格がほしいと思った。 出水の場面も、近年台風被害を見慣れているだけに、もっと水の脅威の表現はあったのではないだろうか。効果音が響けば響くほど、水の恐さが引っ込んだ。 配役も不満だ。文四郎の子役はいいが、ふくの子役はよくない。あんなもっさりした子守女のような風情では、殿のお手がつくという話にリアリティがない。長じて、大人になった文四郎の染五郎は一本調子で魅力なし。逆にふくの木村佳乃はにおうような美しさがあったが、評価は微妙だ。柄本明とのやりとりのときはいいが、染五郎との濡れ場になるとなめらかさが足らなかった。 そしてもっとも期待が外れたのが、川舟の逃避行だ。詳しくは書かないが、なーんだと思った。月の光だけが降り注ぐ船底に腹ばって、じっと見交わす文四郎とふく。ここが物語の最大のヤマ場だが、実にあっさりと。その前の斬り合いにずいぶん時間をかけたが、それはこの場面への助走にしておくべきではないか。 実は、映画を見ながら、カットが気になり、物語に入り込めなかったことを告白しておこう。自分ならどう撮るか、そう考えると出来上がった映像のひとつひとつは、よく健闘していると評価もしたい。だが、全体の流れの中では見終わって、物足りないと思ったのだ。 デビッド・リーンの「逢い引き」が好きだったという藤沢周平が、これを見てどう思うだろうか。 来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
by yamato-y
| 2005-10-04 00:02
| ブロギニストのDJ
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