益荒男ぶり
戦死した叔父のことを考えていたら、大木惇夫の詩を思い出した。
戦友別杯の歌 (大木 惇夫)
云うなかれ、君を別れを、世の常を、生き死にを
海原のはるけき果てに、今やはたなにをか云わん
熱き血を捧ぐる者の、大いなる胸を叩けよ
満月を杯にくだきて、暫し、ただ酔いて勢えよ
わが征はバタビヤの街、君はバンドンをつけ
この夕べ、相離るとも、かがやかし南十字を
いつの夜かまた供にせん
云うなかれ、君を、わかれを
見よ、空と水うつところ、黙々と雲は行き、雲は行けるを
きっと叔父はこんな思いで戦地に赴いたのだろう。こういう益荒男ぶりに感応するのを私自身の中に見出すことがあることも否定できない。
大木は広島の出身で戦前活躍した。戦後、戦争協力したと指弾され筆を半ば折っていた。今朝の読売新聞に大木あまりの句が出ていた。
イエスよりマリアは若し草のわた
あまりさんは大木の3女で俳人として有名だ。3年前、鎌倉で行われた句集の出版記念会であまりさんをお見かけした。初老の可愛いおばあさんだった。理知的な句風とは違う控えめで穏やかな人となりにいささか驚いた。
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