祇園囃子
さっきまで、「祇園囃子」というドラマを見ていた。なにやら私は京都病にかかっているみたいで、京と聞くと食指が動くのだ。ただ、このドラマは石原軍団中心とラジオテレビ欄で読んでやや危惧した。
おまけに脚本はあのゴーマンな人物と知ると腰はひける。でも見た。
結果は予想した通り。石原軍団はまあそこそこだったのだが、女優陣がよくなかった。読後感も薄かった。
十朱幸代は中村嘉津男と夫婦なら65,6歳の役どころ。でもしわもなければまつげもばっちりで、どう見ても40代。このヒロインが渡哲也と25年前に恋をして、突然別れがあってそれでも身篭った子を育て上げ、いよいよ結婚を明日に控えるという設定。その悲しげで健気な役回りが全然似合っていない。娘の藤原紀香も京都弁が話せるだけでまったく初々しさもないただのとうのたった女。
新聞には、最近のドラマは説明のせりふが多いと批判して挑んだと、脚本家の弁が出ていたが、まったく逆のことをやっていた。
主人公の渡がアメリカ人になりきって感情もすべて抑圧してきた男にもかかわらず、祇園囃子を耳にした途端涙があふれた、とせりふで語る。
その感情こそドラマで表現すべきでないか。まさに状況つくりをせりふでやっていて、観客に登場人物の思いが届かない。
祇園祭の頃というのは蒸し暑い、京都特有の暑さが背景にあるのだが、まったく誰も汗をかいていない。何か味が薄いのだ。
今は廃業した置屋の2階がバーになっている。これは最近私が行った米村の雰囲気に似ていたが、ここでの挿話もとってつけたような「柱の傷」話だった。
浪花千栄子のような役者を出せとはいわないが、もう少し関西いや京都の匂いをもったキャスティングをするべきではないか。
これを見ると、井筒監督の「パッチギ!」はまあ健闘していると言えるのかなあ。
渡という人はまじめそうだが、何か勘違いしているのじゃないかな。優しいきれいな顔をしているが、悪が一番似合うということを。
この人が出た「東京流れ者」は最高だった。
「かにかくに 祇園はこひし寝(ぬ)るときも 枕のしたを水のながるる」
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