心奪われる若林暢の音色
21日の夜、銀座王子ホールで開かれた、魂のヴァイオリニスト若林暢(のぶ)を追悼するコンサートに出席した。
昨年、58歳の若さで病死した若林暢と親交のあったウィーンフィル首席奏者のワルター・アウアーと長年伴奏者だったアルバート・ロスの二人が共演したのだが、素晴らしい演奏で久しぶりに心が洗われるような気がした。
主人公不在のコンサートにもかかわらず、会場には暢さんの思いが充満していた。なぜそんな気になるのか不思議だった。
今、この女性ヴァイオリニストに夢中である。もともとクラシック音楽には縁遠い私だが、この人のブラームスの録音を聴いて心を鷲掴みされた。とてつもなく深い音色、すばらしい技術、再現芸術の最高レベルと感心感動したのだ。なぜ、こんな人がこれまで知られることがなくスリープしていたのだろう。
今夜、彼女の演奏を聴くことができる。FM横浜で午後9時から若林暢の特集が放送されるのだ。特別ゲストにさだまさしが登場する。さださんは生前の彼女と親交があったということで、その人柄や演奏について語ってくれるそうだ。
よく考えれば、さださんは若い頃ヴァイオリニストを目指していたのだから、その道にくわしいはずだ。どういう評価をしてくれるのか楽しみ。
暢さんは芸大を首席で卒業後、渡米してジュリアード音楽院で学び、1986年のポーランド、ヴィニャフスキコンクールで2位を獲得している。2位といっても副賞は総なめで、特に最優秀音楽解釈賞はすばらしい実績だ。ちなみにヴィニャフスキとは近代ポーランドが生んだ名ヴァイオリニストで、この賞は専門家のなかでは高い評価を受けている。翌1987年にはカーネギーホールでリサイタルを開き、ニューヨークタイムスで絶賛された。
長く欧米で活動していたため日本での知名度は低い。かつ、レコードからCDデジタルに録音技術が変わってから暢さんは録音することを敬遠するようになったため、レコードはたった2枚しかない。それもロンドンとケルンでの作品だ。その希少な音源がソニーミュージックダイレクトによって今回CD復刻された。タイトルは「魂のヴァイオリニスト」。題字はさだまさしとなっている。2枚組で、ひとつは「ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ集」、もうひとつは「ヴァイオリン愛奏曲集」だ。
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