愉快なケール
先週の京都での集中講義で知り合った可愛い娘について話をしよう。
アメリカからの留学生で、DNという。スリムで足長のおしゃれな大学院生だ。その娘と週初めからメールをやり取りしていると、アドレスの名前がKale Nagasakiとなっている。どういうことって聞くと以下の答えがあった。
《そして、忘れないうちに、私は De Na です。でも、私は小学校の時、『ドラゴンボール』というアニメの一色でした。学校から帰るたびに兄と一緒に『ドラゴンボール』を見たものです。『ドラゴンボール』を憧れて、自分も話に入りたくてキャラクタ-を作ったほどです。『ドラゴンボール』の中で、一番強い人たちは野菜を基づいた名前があります(例えば:べジタ (vegetable), カカロット (carrot)). だから、私はケールの野菜を選んで、Kaleというスーパーサイヤ人になりました。
それに、Nagasakiはどこから来たかというと、同じごろ「さすけ」という番組はアメリカで放映されていました。ご存知ですか。障害物競走の番組です。とにかく、あるエピソードに「ながさき しゅんすけ」というオリンピック選手が登場しました。たまらなくハンサムだと思って、十五歳の私には結婚したい気分が急に出ました。勝手に彼の名字を取りました。》
いやあ、サブカルチャー恐るべし。日本のアニメが、外国の少女に大きな影響を与えてその人生にまで深く食い込んでいたのだよ。日本文化研究の研究者になったのだ。ちなみに日本語の文章はすべて彼女の自前のもの。手書きで漢字入りの文章もうまい。本当にスーパーサイヤ人だ。
このスーパーサイヤ人は、来日して何を研究しているかというと、日本の60年代のテレビに現れた黒人表象についてである。なんだか面白そうな主題だが、意外な難儀が待っていた。というのは、60年代の映像がほとんど残っていない。当時VTRはようやく商業ベースに乗ったばかりで、かつ使いまわしを迫られて、ニュースはともかく当時の娯楽もののビデオはほとんどない。ひょっとすると、民間の富裕層でソニーのベータで収録している人がいるかもしれない。そこで、ケールに代わって、呼びかけたい。
〈60年代70年代のドラマやドキュメンタリーで黒人の登場する番組のビデオを持っている人がいたら、情報をいただけませんか。〉
ケールはこれから2年ほど日本に留まって、研究を深めるという。どんな研究成果を見せてくれるか楽しみにしている。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれません
人気blogランキング