ヒューマニズム
台風が関東に接近していて断続的に強い雨が降っている。雨があがると見計らったようにセミ時雨が始まる。それを聞きながら2冊の本を平行して読んでいる。
一つは、尊敬する池明観先生の『境界線を超える旅・池明観自伝』。もう一つはピーター・ドラッカー著『ドラッカー20世紀を生きて・私の履歴書』である。まったく異なった人生だが2冊とも、心に沁みる。
池先生は1924年、植民地下の北朝鮮で生まれた、81歳。ドラッカーは1909年、ハプスブルグ帝国首都ウィーンで生まれている、95歳。
未亡人となった母と困窮の少年時代を送る池先生は苦学して上級学校に進み、故郷で先生になった21歳のとき、日本敗戦、朝鮮解放をむかえる。ユダヤ系の裕福な階級に育ったドラッカーは17歳で国外に出てドイツに向うがヒトラーの台頭するなか危機を感じて、イギリス、アメリカと亡命していく。
二人とも抑圧された民族として苦難を経験するが、1945年以降大きく人生は分かれて行く。ドラッカーはマネージメントという新しい世界を開拓して、戦後の繁栄の中でスタートをきり順調に人生を築いていくに対し、池先生はすぐ冷戦による祖国分断の苦難にあい長く軍事政権と対峙しそのうえ日本へ亡命という厳しい道を歩むことになる。
まだ両方とも読了していないので正確な感想は語れないが、今の段階での印象は一本の道を信念をもって歩み続けた人生とは何と美しいことかという感概をもつ。
池先生のご本は献呈していただいたもの。ドラッカーの本は知人から表現形式が面白いから読めとすすめられたもの。出会いの契機はそれぞれだったが、傾向の違う伝記を同じ時期に読むことになった不思議を感じる。
今取り組んでいる番組「ペルソナα」にもそうだが、私は人の生きかたにとても興味を抱く。企画を立てるときも、1にヒト、2に動き、3に時代と、何よりヒトに関心を収斂させてきた。ある種の「ヒューマニズム」だと言ったら言い過ぎだろうか。
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