熱い痛み―激痛一瞬 2
10月初旬に前立腺の手術を終えた時期から(正確には施術から6日ほど経過)、背中や腹にチクっとした痛みが走るようになった。今年の秋は陽気がいいから、ベッドに蚤か南京虫の類でも入り込んだのか、それが私の身体を攻撃しているのかと自己判断。翌日、職場近くの皮膚科で相談した。医者は、私の腹や背中を見て虫の痕跡がないことを認めたうえ、これは皮膚科の要件じゃないという。「じゃ、何ですか」大きな声をつい上げた。
おそらく脳が間違った指令を出して、身体の末端の神経が誤作動して痛みという作用を発生させていると、いつも陽気な医者は珍しくマジな顔で言った。一瞬、津田投手の脳腫瘍のことを想起し悪い予感が駆け巡る。彼は頭に出来た腫瘍が脳を圧迫することによって、腕がしびれたりだるくなったりする症状で最晩年苦しんだという事実を思い出したのだ。一瞬青くなった。私もあの難病に取り付かれたのか。
――医者にどうすればいいか聞いた。「不安であれば、脳関係の専門医を訪ねることです。」医者は淡々と告げる。「そうしたほうがいいですか?」と後追いして訊ねると、「私なら、まあ当分様子を見ることにてしますがね」と、個人的意見として応えてくれた。なるほど、大騒ぎするほどじゃないということか。当分経過観察にしよう。
その後大きな痛みもなく、秋は闌けて冬になった。暖冬であったが、クリスマス頃からぐっと冷え込みがきつくなった。
12月29日、左わき腹と左足裏に熱く鋭い痛みが走った。終日、断続的に同じ箇所に痛みが走った。10月の頃より症状が進行したようだ。神経系統が錯乱している。それからは、前にも記したように、広島の瞑想の師匠に相談してまず精神の落ち着きを取り戻すことに専念。
1月5日。夕刻、歌舞伎町のタケ先生の診療所に向かった。先生にこの10日の間に起きた異変について語る。黙って聞いた先生は、いつもと同じ施療を素早く始め、身体の腹側の打鍼の最後に、突然、足裏に鍼が素早く3本。ずきーん。脳天を揺さぶるような衝撃が走る。普段の鍼とまったく違う。
背中側の打鍼はいつもと同じ。すべて終えた後、私のもう一つの患部、肋骨下の窪みに3つのお灸をすえた。短い灸で、数秒で燃え盛る。「あっ」という声を上げる前にその作業は終わった。まさに電光石火の早業だ。
帰りがけ、タケ先生は、「身体を冷やしちゃダメだよ。これを貼っておくのがいいね」と紙カイロを20袋ほどくれた。
午後8時帰宅。入浴後、すぐに瞑想。9時半、寝衣に着替える。胸の肋骨部分と足裏にひとつずつカイロを丁寧に張る。家人がいないことをいいことに、安藤サクラ主演の話題の映画「百円の恋」を視聴。およそ3時間、映画にすっかり引き込まれる。その間、発作一度もなし。
午後11時半、ベッドに潜り込む寸前、肋骨部分にびりりと痛みが走った。だが、昼間ほど痛みがきつくない。念のため、瞑想を20分間実施。蒲団に潜ると、2つのカイロもほどよく暖まり心地よい。数分で眠りに落ちた。
どうやら、私の症状は神経症らしい。中高年になってからの外科手術のあとに多いそうだ。季節も関係があるらしく、冬場に発症しやすい。春になれば、この「発作」も軽減するのか、とにかく当分見守ることにした。
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