みんな幽霊の話をしている
死者が共に在る、と言う話を友人にしたら、一冊の本を呉れた。
『死と身体・コミュニケーションの磁場』(内田樹著、医学書院)
内田さんは関西の女子大の哲学の先生で、最近続続と本を出している。東の斉藤孝と並んで西の内田樹と囃される人物だ。文章がおもしろいのは言うまでもないが、発想、考えが独特で魅力がある。私と同じ団塊世代だ。
学問的には現代思想のレヴィナスの研究家として知られる。わたしの浅い知識でもたしかレヴィナスは死を見つめてきた思索家だったはず。内田教授が死をとりあげるのも不思議ではない。友人からもらったのは昨夜なのでわずかしかこの本に目を通していない。週末に読もうと考えているが、パラパラとめくっただけでも興味深い言葉が並んでいた。
第5章、死者からのメッセージを聴く。みんな幽霊の話をしている、「かれら」とは死者のことである、・・・「死者の声を聴く」とは。
ジャック・ラカンというフランス精神医学者のことばは、あることを言わないから超難解なのだと内田さんは説く。死者を在るとして語っていることを言わずもがなの前提にしている、そのことを考慮しないと、言っている意味がなかなか分からないだろうと、内田さんに説明されてなるほどと目から鱗が落ちだ。
正直に言うと、このラカン、その訳者の新宮一成らの文章は何度読んでも理解できず、つくづく無能さに私は愛想が尽きていたのだ。
いずれにしても、この8月のブログは死者のことをかなり語ってきた。その意味を掘り下げるうえでも、この『死と身体・コミュニケーションの磁場』(内田樹著、医学書院)は読みがいがありそうだ。
余談だが、内田教授と私はいささか接点がある。私が毎月教えに行っている大学の講座に
内田さんも参加していたのだ。その講座は「二十世紀学」という。私は映像メディア論だが、内田さんは身体論を講義していただいたと聞く。さらに内田さんのホームページは人気がある。その内容がめっぽう面白い。
そこに書いてあったかどうか失念したが、内田さんの愛読した雑誌に「メンズクラブ」とあってすごく親近感をもった。一度肖像写真を拝見したとき、トラッドなスタイルに納得がいった。

今朝の高田馬場、戸山口風景だ。
来られた記念にランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング