入院3日目 悪夢
やっと解放された。午前11時にナース付き添いでトイレに行った。帰りは1人で病室まで戻る。1時間前とえらい違いだ。
昨日、手術を終えて目を覚ましたのが4時半。順調に肥大箇所も除去できたとS先生から声がかかり、一安心。そのまま病室のベッドに送り込まれる。ベッドについて、尿の排出袋とうでの点滴を取り付ける頃にはすっかり意識も戻り、部屋の入り口に家人と娘が立っていて合図を送っていることも現認できた。これでよしとおもったらそうはいかなかった。詳細は分からないが、切除した前立腺核の地の部分を引っ張り上げるためにバルーンを装着させたようだ。引っ張った管の端に錘をつけてベッド下に垂らした。この装置は、上半身を起こすと逆作用となるので体を動かしてはいけない。トイレはもとより、ベッドから身を起こしてはならないとナースから注意を受けた。
「嘘だろう、それではまるで拷問じゃないか」ナースに、せめてベッド内の身体移動ぐらいはと懇願したが、主治医からの指示ですとにべない返事。だが、まだ事態をあまく見ていた。べっどに文字通り釘付けされた。レスリングのフォールの姿勢以外許されないのだ。同じ姿勢で10分もいれば体が悲鳴をあげる。少しだけ、肩の上げ下げや腰のずらしで誤魔化すのだが、30分ともたない。気を紛らそうとラジオを聴くが、ノーベルとJAPANという語を英語で耳にしたきり何も入ってこない。やっと7時になった。NHK第一のニュースが始まる。トップは大村北里大栄誉教授がノーベル医学生理学賞を受賞のニュース。修羅場にあっても、同胞として嬉しい気持。後のTPPのニュースなどまったく耳に入らず。
それからの時間の経つことの遅いこと。じりじりとする。消灯の9時になって、ついに睡眠導入剤が欲しいと弱音を吐く。だが1錠ではまったく効き目なし。目を閉じると悪いことしか浮かばない。アウシュビッツの立ち牢とか浦上四番崩れの三尺牢とか、拷問のおぞましさばかりがrepresentする。
明け方までに「仮眠」を2,3度とったようだが、ハッキリしない。幾たびベッドのなかで深い腹式呼吸をとって、精神力を鼓舞したか。寝たきりの人の辛さを身をもって知った。
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