入院2日目
よく寝た。11時半まで覚えているが、後は今朝の6時まで全く記憶がない。一度もトイレに行くこともなく熟睡したらしい。こんなことは半年ぶりだ。
腹が減った。昨夕の夕食からお茶以外何も口にしていない。この水分補給も午前11時までだ。まもなく浣腸で腸内を掃除した後シャワーを浴びて、手術着に着替える予定。だんだん執刀が近づいてくる。やだなあ。
朝の回診で、担当医のS先生と挨拶を交わす。微笑んでいるが、私の覚悟を測るような眼をしていたのが気になる。
隣のベッドで寝ていた私と同世代と思しき人が今出て行った。70年代にはヘルメットをかぶっていたとか。最近の若い者はだらしがないと悲憤慷慨して退院して行った。人を言う前に自分は今何をしているか、まったく無自覚。あんなジジイにはなりたくない。
シャワーを浴びてさっぱりした。体を測定すると、身長が1センチ縮まり体重が1キロ増えていた。いつの間にか老人化している。やっぱし俺もジジイだ。
突然海を見たくなった。大磯のでなく長崎野母崎でなく、広島宇品でなく敦賀でもなく、内灘の荒涼とした冬の海。
46年も前の晩秋に一人で電車に乗って見に行った鈍色の荒れた海。海は怒っていたし、俺も不貞腐れていた。理由は忘れた。北陸の暗い雨雲の下、ゴーっと海鳴りを響かせながら長い波が陸地を噛むように押し寄せていた。
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