惜しむ、玉久
渋谷、109のすぐ隣りにある細いビル9階、8階にあった「玉久」が店を閉めた。
1ヶ月ほど前に、店主急病につき休業しますと張り紙があったので、心配していたら
案の定、廃業してしまった。
この店は古くからあって、109(通称、マルキュウ)が建ったときも買収に応ぜず、古い時代遅れの店舗のまま何年も商売していた。店の外観と違って味はめっぽううまく、特に使っている魚が新しくよかった。あの食通の丸谷才一が、渋谷の名店として紹介もしていた。
私は、ここのキンキの煮付けが大好きだった。頭から尾まで、すべて食べられた。甘塩っぱい味付けは絶品だった。
3年程前に新しいビルを建て、その最上階に店を開いた。渋谷の若者がうろつく目抜きにあったが、さすがに最上階までは来ず、店は年輩の男性を中心に渋く賑わっていた。
その店はガラス張りの窓の前に長いカウンターがあって、そこから渋谷の夜景が一望できた。「栄華の巷を低く見て」呑む酒は格別だった。一人で酒を呑むときは、いつもここだった。
それなのに、その玉久が店を閉めた。私の独酌の楽しみが、また一つ消えた。
因みに、私推奨の大人の店は
渋谷:はるばる亭、春夏秋冬、ぶゐ、鳥げん
新宿:とんぼ、のだぴん、
荒木町:寿司金、塩瀬
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