映画「チルソクの夏」を見て
昨夜、毒虫に咬まれてから碌なことが起こらなかった。
いささか、うんざりしていたので、気分転換で前から薦められていた「チルソクの夏」を
DVDで見た。よかった。
ストーリーは25年以上も前にさかのぼる。ケイタイもメールもなかった、「なごり雪」が流行っていた時代、1977年7月7日。日本もまだ貧しさのカケラは少しあったし、韓国は軍政で戒厳令があった頃だ。
姉妹都市である下関と釜山の間で行なわれた親善陸上競技大会をきっかけに友情を深めた日韓高校生の淡い恋物語。ヒロインの郁子、恋人の安。
ともに受験を控えた身であるが、様々な障害を乗り越え、1年後の再会を夢見るふたりとそれを見守る3人の少女たちの物語だ。
この17歳の女子高校生たちが抜群にいい。いかにもバブル初期のまだ日本が初心だった時代にふさわしい女子高校生なのだ。しかも陸上というツールを実にうまく使っている。
この映画で感心したのは、女子高校生と下関の町と陸上が実によく描かれていた。下関の町は坂道が多く、大林監督の尾道を彷彿とさせるほど風情がある。「チルソク」とは韓国語で七夕を表す。日韓の間に横たわる玄海灘が、天川に見えてくる。
いわゆる芸術映画でないから野暮なことだが、ヒロインの父の朝鮮人嫌いや韓国の母の日本嫌いはあまりに通俗的だったかなと思う。あと、ヒロインが成長してからの別の女優が演じたのはあまりに無理が多かった。「ニューシネマパラダイス」の違和感と同じものを感じた。
ただ、女子高校生4人組のしぐさ、表情、行動が実にここちよく心に響いた。今風の「ウォーターボーイズ」のような乾いたスマートさがない分、甘酸っぱさがよく出ていた。
今日一日、重い気分でいたのが、束の間忘れさせてくれた。佐々部清という監督の名前は覚えておこう。
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