スリリングな手法
5月の「課外授業 ようこそ先輩」の4本は新作がずらっと並ぶ。その1本目が先週金曜日の5月8日に放送された。先輩は、AR三兄弟の川田十夢さん。2015年度新作の第1号に相応しく、川田さんはこの番組のファンで、これまでも作品を熱心に見てきた。そして、一度出てみたいとひそかに野心を燃やしていたと、番組冒頭のインタビューで語る。面白い人物だ。
ARというITの技術は最初文章で読んでもなかなか理解できなかった。Augmented Reality(拡張される現実、強化される現実)の略が AR。コンピュータをある対象に向けると、その対象の現実以上の情報が付加される技法を指す。言葉でいうより、現物の画像を見れば一目瞭然。川田さんは、このARというITの技術のトップランナーの1人だ。
ARを学校という環境のなかで実際に子どもたちに作り出させようと、川田さんはもくろんだ。そのために子どもたちに現実の「余白」のなかから想像力を目一杯働かせてみろと、唆す。
主人公の川田さんはあまりに頭がいい性か、言っていることが難しくて、なかなか他者には伝わらない。ましてや子どもたちにうまく伝わらない。想像をめぐらす時の入れものを、川田さんは「余白」と説明する。その余白を探せと子どもらに命ずるが、子どもらはチンぷんカンで、見よう見まねでいろんなものを探してくる。どうもセンセイと子どもたちの心がうまく交わっていない。その後も授業が続くが、川田センセイの空回りが次第に大きくなる。
一日目が終わった。自分の伝えたいことが、子どもたちにうまく伝わらないことに、川田さん本気で悩む。そして焦る。ここまでで、川田さんが考える「授業案」と、とまどう子どもたちの「授業イメージ」。両者のすれ違いがくっきり明らかになる。
さあ、ここから第2幕が始まる。この苦境に対して、センセイは必死になってリカバーに入る。そのときの「センセイの頭の中」が次第に視聴者に見えてくるのだ。手前味噌だが、実に秀抜な仕掛けだ。こうして、「課外授業」は新しい手法に挑戦を始めた。
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