映画「プレッジ」を見て
ジャック・ニコルスン主演の「プレッジ」(2001年)を見た。監督はショーン・ペンだ。
いい映画だった。ニコルスンもうまかった。だが、後味が悪い。というのは、定年した男の「妄想」を描いているのだ。仕事を取り上げられて、男はアイデンティティを喪失したというメッセージだ。今の私には笑い話にはならない。
その物語とは――
ある雪の夜、一人の少女の遺体が発見された。引退をその日に迎えていた刑事ジェリー(ジャック・ニコルソン)は、少女の母親に懇願され、犯人捜しを約束してしまう。
定年後のジェリーは一人で事件の足跡を辿り始める。やがて少女の通っていた学校で、少女が殺される直前に描いた絵を手に入れる。彼は犯人が最も姿を現わしそうな地点を推測し、そこに立つガソリンスタンドを買い取った。まもなく、ウェイトレスのロリ(ロビン・ライト・ペン)と知り合い、彼女とその娘と3人での暮らしが始まる。だが、少女に付きまとう奇妙な男を怪しく思ったジェリーは、その男が事件の犯人だと確信し、ロリの娘をおとりにして犯人を招き寄せる。
娘を囮につかわれたと知ったロリは娘を連れて出ていく。ジェリーの確信は妄想となり、とりつかれてしまう。
この話の結末はいま一つあいまいだ。ジェリーが犯人とめぼしをつけた男は、おとりの場所に来る直前事故を起こしていて、ひょっとすると無事に現場に来ていれば、犯人として捕まったかもしれないという可能性を残しているのだ。必ずしも、ジェリーの妄念とはいえないかもしれないのだ。
と、結末に救いを求めたいと思うのは、私自身が同じ定年後の境遇を生きているからだ。
仕事の現役を下りたために、生きる軸を失うという、解釈に立ちたくないのだ。
私は、過去に執着していないか、妄念を抱いていないか、何かにおびえていないか、
この映画を見ながら、思わず生き方を点検していた。
目黒川沿いの桜並木道を散歩した。葉桜越しに区民プールが見える。こどもらが歓声をあげていた。
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