神保町、白山通り
増村保造の横顔
三島由紀夫のことで神田へ行ってきた。彼の著作権を管理するオフィスが神保町にある。
その社長とは旧知だ。大江健三郎の著作権も管理していて、先年ノーベル賞で大騒ぎになったとき、共に大江さんについてストックホルムに行った仲でもあるのだ。
実は、この人から「冬のソナタ」の魅力を教えてもらった。彼のアドバイスもあって、昨年私は特番を四本作ったのだ。
今秋、『春の雪』が行定監督によって映画化される。そのことについてディレクターたちといっしょに話を聞きにいった。そこには、元大映のプロデューサーも同席した。
その人は三島が俳優として出演した「からっ風野郎」をプロデュースしたという。70近い穏やかな人だった。
三島が映画に出たとき、大映の全盛期だ。
監督は異才増村保造。イタリアへ留学して映画を学んだという「インテリ」だ。
実は、三島とは東大法学部の同級だ。二人とも卒業後、大蔵、通産省に入った。
増村はわずか半年で、三島は9ヶ月でそこを辞めている。その二人が、人気作家と前衛派の映画監督としてあいま見えたのが「からっ風野郎」。
三島は出演するにあたり一つ注文を出した。それは役柄はぜったいインテリは嫌だということ。そこで出されたアイディアが、八百長をする競馬騎手だったそうだ。だが、この構想は社長の永田雅一の逆鱗に触れボツ。次いで、あがったのがヤクザの2代目。
結局これに決まった。
この映画を私は見たことがないが、三島と保村なんていう組み合わせはとても魅力的だ。おおいに関心がある。
神保町の帰り道、古書店をのぞいた。三島の『鏡子の家』があったので購入。
その横の棚に子母沢寛が並んでいた。最近、この人の文章が気に入っている。つい手が出る。『遺臣伝』を買った。神田はいい。ここに来るとつい長居をしてしまう。
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