プロの魂
かつて、前髪を掻き揚げて「コンドーです」と名乗っていた二枚目が
近藤正臣さんだった。
今、秋の特番で短編ドラマと2つのドキュメンタリーを制作している。詳しいことはまだ、
書けないが、素敵に生きた日本人の話、3題だ。
そのドラマに、近藤さんに登場していただいた。過密なスケジュールで、短い準備であったが、近藤さんは素晴らしい演技を見せてくれた。
普通は、台本が上がると、一度たち稽古やリハーサルをして本番に臨むが、今回は日程的に出来なかった。そこで、監督と近藤さんは打ち合わせだけを、事前に行った。
そのとき、近藤さんは台本を深く読み込んでいて、緻密な演技プランを示した。監督は
洞察の深さ、仕事に対する誠実さに感動した。
そして、千葉と京都の本番。初老の時代遅れの指導者の哀しみを、近藤さんは見事に表した。
芝居を活字で語るのは難しいが、近藤さんはけっして思わせぶりでなく、その人物の心の動きが分かり、観客のこころをとらえるような芝居だった。
荒編集の試写で、私は不覚にも涙がこぼれそうになった。
監督から聞いたが、近藤さんはホケンを掛けた、予備の演技はいっさいせず、プランに沿った
迫真だけを追求したと、言う。まさにプロだ。あらためてプロの芝居の凄みを知った。
私は元来ドキュメンタリーを
専門に仕事をしてきた者だが、昨年「冬のソナタ」を担当して以来、ドラマ、ドラマ的仕事が増えている。あらためて、「表現」の多様性に心を奪われていると、言えるかもしれない。
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