少し思いがあふれて
4ヶ月ぶりに大磯へ戻った。9月から大学の授業が土曜日に編制されたので、それまで週末に帰っていた日程がたたなくなり、ずぶずぶと日延べが続いていた。今回の3連休で日月と休日がとれたので帰還することにした。
台風シーズンが明けたあと、ちょっと大掛かりな家の改修もしていた。その仕上げがどうなったかの点検もあったので家に帰ったのだ。
家は若返っていた。20年の歳月で少し老化していたが、窓枠をサッシにしたりベランダのテラコッタタイルをすべてシーリングにするなど新しい建材を使用したこともあって、家に安定感が生まれていた。
庭が草ぼうぼうになっていた。前庭も後庭もすっかり萱草とススキで覆われ、さらに隣の空き地から生え伸びた蔓草が押し寄せていた。昨日今日と、草むしりと蔓草切りに追われた。夢中でやったせいか、帰りの湘南電車のなかで足腰にどうんと疲れがたまっていることに気づいた。一心不乱に草をむしったのだから、これぐらいの反動は来るにちがいない。
なにか自分を罰したい気分があったから、草むしりに挑んだのだ。
家の改築に合わせて、部屋の家具を大きく移動させていたのだが、その修正をひとりでやった。そのときに、子供たちの幼い頃の写真や通信簿などがあるのを見つけた。
この家が建った頃、私は広島に単身赴任していて超多忙の毎日を送っていた。子供らの高校進学、大学進学のことなどほとんどコミットしていない。息子も娘も地元の県立大磯高校へ通っていて、自由な学風でのびのびやっているということだけ家人に聞いていた。
今回、ひとりで夜酒を飲みながら、子供らの青春のアルバムをすこし見た。すこし胸が熱くなった。
なんときらきらした高校生活を送っていたか。麗しい友だちに囲まれて青春を送っていたか。娘のルーズソックス姿にはち切れそうな笑顔を見たとき、俺は半分後悔と半分安堵の思いが胸をかすめた。
いつか家人から息子の高校生活のことでこんな話を聞いた。大磯高校は海に面していて、校舎のすぐそばに砂浜がある。息子の嫌いな科目の時間のこと。友だちが席に息子がいないことに気づいて探すと。
ヤツは砂浜で友だちとフリスビーをしていたという。太平洋が広がる砂浜で、けらけら笑ってさぼってフリスビーしている息子。学校の帰りには友だちをいっぱい連れてきて、子供の部屋から人が溢れていたとも聞いた。
娘のことはもっと知らない。友だち同士で浦安のDランドで行っていたなんてことは、今回初めて写真を見て知った。そのとき撮ったと思われるプリクラ。なんと嬉しそうな笑顔。こんな笑顔の日々があったのだ。
親父である俺はこんなことを何も知らなかった。
知らなかってよかったのだ。親(少なくとも男親)の知らないところで、彼らは彼らなりの青春を歩いていたのだ。
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