晩秋雑感
わが母校の寮歌に、「北の都の秋たけて」という歌詞がある。11月、木枯らしが吹く季節となり気温が10度を下回ると、まさに秋がたけたという感がしてくる。秋は冬という季節の死に連なり、なんとなく負のイメージがつきまとう。
昨日、風悟さんの訃音が猫翁さんから入った。これで、わが俳句倶楽部のメンバーが、わずか1年で3人も永眠したこととなる。かすみさん、一甫さん、そして風悟さんだ。前のふたりは80の齢を重ねたが、風悟さんは50の坂を越えたばかりの働き盛り。しかも植物状態となって1年以上の果ての死だからやりきれない。風悟さんのあのシュルリアリズムばりの、跳んだ句に出会うことがないと思うと淋しさもひとしおである。
俳句といえば、今制作中の「課外授業 ようこそ先輩」のゲストは、俳人の長谷川櫂さん。母校熊本県宇城市立小川小学校で、音をめぐる句作の授業を展開している。5年生の子どもたちだが、見よう見まねでもなかなかいい句が生まれるのは、やはり長谷川さんの指導する力が大きいということだろう。この授業は、ぜひ俳句をたしなむ人には必見ですよ。
寒くなったせいもあるが、トイレが近くなった。おそらく前立腺肥大の値PSAが上昇しているにちがいない。今年に入ってから主治医から要観察を申し渡されたが、いよいよ進退が極まったかと憂鬱だ。ところで、晩年の谷崎潤一郎がこの前立腺肥大におおいに悩まされていたということを知って、いささか安堵したというのは身勝手な自己弁解か。
ということもあって、歩くことだけが病気対策となり、この半月、通勤に徒歩の負荷をかけることにしている。目黒=渋谷の山手線通勤定期を使用しているが、朝夕の通勤で、一駅を徒歩に変えている。目黒―恵比寿、恵比寿―渋谷のいずれかを電車を降りて歩くことにしている。
目黒―恵比寿は15分。恵比寿―渋谷は18分の所要時間となる。今朝は、目黒―恵比寿をスェーターにコートを重ねた姿で歩くと、汗びっしょりとなった。こうして男子用便器に向かうと、ほとばしるような液体の形状が現れ、すこし溜飲が下がる。
国際情勢があわただしい。2年半ぶりの日中首脳会談があったかと思えば、日露交渉が活発化し、イスラム国の狼藉すこぶるとなり、米大統領の中間選挙敗北、ユーロの混迷・アジア中進国の台頭。そしてアフリカ西部のエボラ病の脅威はいっこうに消えない。二十世紀には考えられなかったような国際間のつながり、縛りである。何か、新しい思想もしくは宗教が生まれ出ようとしているのか。その契機となる状況が今進行しているのだろうか。大澤真幸、小熊英二、東浩紀ら、若手論客の著作が気になる。わが世代では、内田樹さんがひとり奮闘している。
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