秋風の吹く頃に
この夏はアイパッドに凝って、2ちゃんねるばかり読んでいると前に書いた。その傾向はやや薄らいだとはいえ消えていない。膨大なit物語を読んだおかげで、大正から昭和初年にかけて不倫小説姦通小説が流行ったという気分が最近なんとなく分かった気がする。ひょっとしたら現代の社会世相は当時と似ているのか。(そんなことはあってほしくないと思うが、いささか懸念ももつ)。とにかく、不倫ばなしにのめり込んでいる。
ネットのデータベースというのは知れば知るほど奥が深い。一見、稚拙な夫(むろん妻も)の体験談のようにみえて、フィクションも交えた入り組んだ結構をもつ説話がおどろくほどたくさん列挙されている。最近は、このなかから「名作」と思われたものをファイル化して、2ちゃんねる無頼文庫と命名してわがアイパッドに納めている。ときどき、病院の待合などでアイパッドを開いて読んでいる。
そんななか、秋晴れの澁谷の町を闊歩しながら、駄句を詠んだ。フェイク不倫だ。
不倫汚名断ち切れず秋の口惜しさ
秋風の身にしむ前の嫁不倫
そのかみの病に襲われ晩夏かな
失明の友のそばの芒(ススキ)かな
そして、北陸新幹線の話題を耳にして次のようなものも詠んだ。
ちぎれ雲流るる果てに能登の秋
さらに、グランドスラム庭球の錦織君の活躍に感動した。
球よりも高し歓声雁わたる
ここから11日。今、大腸検査を終えてほっとしている。一通りの検査ではポリープも癌もなかったようだ。今朝は、この検査のために下剤を2リットルも飲んで気分が重かった。おまけに北海道では悲惨な豪雨の光景が飛び込んでくるやらで、気が滅入ったまま大橋病院に出かけた。午後1時のことである。検査の前にいくつも予審を受け、いよいよ寝台にあがると血圧は160に上昇。ふだん偉そうなことを言っていても、実は臆病なのだ。
検査結果もまずまずで、ほっとして、このブログの記事を読んだ。もとい読み返した。「球よりも高し歓声雁わたる」「ちぎれ雲流るる果てに能登の秋」だって、プップだ。なぜこんな句を詠んだのだろう。おまけに人目にさらすなんて、今から考えると信じられない。でも、これも私だから、このままにしておこう。
午後5時。東京澁谷はすっかり晴れ上がって、秋の夕暮れ。
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