日本映画の悲しみ
日本映画の“良心”小栗康平の10年ぶりの映画「埋もれ木」を見た。パルコ横の
シネマライズに足を運ぶと、館内には50名ほど客がいた。まずまずの入りか。
あてが外れた。満を持して作ったのが、この程度か。
鈴鹿とおぼしき山中を舞台に物語が描かれる。というほどの物語らしいものはない。
場所の魅力ばかり目につく。古代の森、深い山中、工事が中断したままのハイウェー、など。比べて、人物が少しもいきいきしない。むしろ芝居をさせない。まるで舞台のような
不自然な台詞回しでもある。
出演者はまさに日本を代表するようなうまい役者がそろっている。草薙幸二郎、坂本スミ子、
田中裕子、平田満、浅野忠信、左時枝、坂田明、岸部十徳・・・。
こんなにいい陣容なのにおもしろくない。何か企んでいるのかと、後半に期待をもつが、
何も得ないまま、分からないまま終わった。最後まで素朴な芝居であった。
フィナーレでラクダが現れる。クロサワの「夢」の行進のような光景だ。だが、それも意匠でしかない。
韓国映画「オアシス」に出てきたラクダのほうが、はるかに「切実」であった。
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