20年は小過去か大過去か
映画のVHS化されていた作品でもDVDやブルーレイなど新しい媒体になっていないものがずいぶんあるようだ。こんな名作がと思われる作品でも現代では見ることができないという不便な状況が生まれている。
先々週、授業でアウシュビッツの逸話について触れたとき、スタイロンの「ソフィーの選択」を学生たちに推奨し、映画化された作品がツタヤへ行けば入手できるだろうと広言した。後日、確認に行ったところVHSは廃盤で、新媒体のDVDはなかった。たしか、主演のメリル・ストリープが映画祭でグランプリを受賞した名作中の名作だったにもかかわらず、DECADE現在では見ることがかなわない。
昨日、映画の好きな友人Kと最近のビデオ事情について意見を交わしたときのことだ。ウォン・カーワイの「欲望の翼」の画質が悪いビデオテープを入手し、久しぶりに見た感動をあつく語っていた。「欲望の翼」なんて作品は20年ほど前だから、当然ビデオ化、DVD化されていると思ったがそうでもないらしい。
この映画を撮っていた頃のウォンの才能はきらきらしていたが、その後名前を失っていく。最近、新しいスタイルで復活してきたと、Kは期待をこめて語った。
最近の若者は、ウオン・カーワイの名前などほとんど知らないと嘆いてみせると、Kは面白いことを言った。
自分らが青春だった1970年代の頃、20年前のオーソン・ウェルズのことをどれほど知っていただろう。あの当時、「市民ケーン」「第3の男」など古臭い時代遅れの作品に見ていたではないかと自戒をこめて語った。
たかだか20年というDECADE。60代のわれらから見ればついこの間の「小過去」。でも20代の若者から見れば、彼の人生まるごとの「大過去」になってしまうのだ。そういえば、昔ベストセラーで「象の時間、ねずみの時間」というのがあった。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれません
人気blogランキング