佳作のテレビ番組を
29日、雨もよいの夕暮れに出勤して、ナレーションの録音にアテンドした。デーモン閣下の「課外授業」の仕上げ作業で、ナレーターは篠原ともえさん。彼女の詠みは表情があって、実にうまく語りこんでくれる。編集段階でかなり苦労したが、今回の作品も水準をクリアできたのもかなり篠原さんのナレーションによるところが大きかった。この1年間でナレーションを3度以上担当してもらったのは、近石真介さんと篠原ともえさんの二人だけ。現在、私が気にいっているナレーターたちである。
黄金週間に入って、特番を目にすることが多くなった。「美の壺」の「長崎」は渋い作りで、その取材の深さに感心した。日曜美術館の「奥村土牛」も代表作「醍醐」の背景を丹念にひも解いていたことに好感をもつ。そして、昨日朝の特集ドキュメンタリー「甥(おい)っ子よ がんばっぺし!~震災遺児と伯父の3年~」という震災特番の誠実な作りに、アタマが下がった。面白おかしければ何でもいいという風潮などにとらわれないテレビ制作者の矜持を見るような佳作だった。思春期の男の子二人が親を亡くして3年間、伯父の世話になって生きてきた記録。これといって大きなエピソードが展開するわけではないが、真面目そうだった弟の眉毛が細くなったり、仮設住宅の狭いベッドの傍らの壁に穴が空いていたりする画像を通して、少年たちの心に潜む苦悩がにじむ。安易な画造りをしない制作姿勢に敬意をもつ。
翻って、民放の番組群の相も変わらないバラエティにげんなりする。むろん、ニュースショーなどでは公共放送の微温的な論調とは異なる鋭いものがあることは認めるが、こと番組に関していえばレベルは実に単調で、こんなことが続けばテレビ文化は衰退していくに違いない。
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