花冷えもあだな心と知りながら
朝から冷たい雨が降っている。一昨日の広島の陽気はなんだったのだろう。気温差15度以上の寒さがぶり返している。なかなか春が近づいて来ない。
昨夜は新橋で呑んだ。テレビでお馴染みのサラリーマンの町だ。青森料理の居酒屋で日本酒を二人で六合呑んだ。珍しく深酒になったのも話が盛り上がったからだ。当方の持ちネタをひとしきり喋ると、相方はお返しに、欽ちゃんの逸話をいくつか教えてくれた。そのなかに本人が成仏したあとのプランがあって、これが秀逸のテレビ論になっていて感心した。欽ちゃんはやはり「天才」だ。
明け方の寝床で、50年前の親子で雪の中をクリスマス礼拝に出掛けたときのことを思い出した。粉雪が吹きすさぶなかを、母は末の弟を負い、父は次弟の手を引き、私は先頭に立って駅前の長い新道を歩いた。子供の足で25分はかかったと思う。教会の裏門に着いた頃には、体が熱くほてっていた。長靴を脱ぎオーバーをとって、礼拝堂に向かった。硝子戸の向こうに石炭ストーブが赤く輝いていた光景が忘れられない。若い母親は、3にんの子供らが無事到着できたことを心底ほっとしていたに違いない。晩年、母は折につけてこのときのことを語った。
このエピソードは私の中では、上方落語の「藪入り」と重なる。もしくは蕪村の「春風馬堤曲」の母恋か。慈母の懷袍別に春あり
春を待つは、母を待つに衣替えしていたという他愛もない話、今朝の冷たい雨。
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