谷内六郎と中村八大
雨の時期は、素敵な子どもの歌が多いと以前書いた。「あめふりくまのこ」なども
物語がきちんとある。もう一つ名作を紹介したい。「雨の遊園地」だ。
作詞は、週刊新潮の表紙を長く描いていた、あの谷内六郎さんだ。彼の画はすばらしかったが、この詩も負けないぐらい美しい。上の画が谷内さんの作品だ。童心を忘れないナイーブな作風は、いまや懐かしい。
この谷内さんが詩を書き、画を描いたのが『雨の遊園地』だった。なぜ画があるかというと、この歌は、「みんなのうた」(総合テレビ)で放送されたのだ。
雨の遊園地
木立(こだち)も ぶらんこも
メリーゴーランドも
ベンチも みんなみんな
雨にぬれていた
木立も ぶらんこも
メリーゴーランドも
ベンチも みんなみんな
ねずみ色
ねずみ色の雨の中
ひとりぼっちの子雀と
ひとりぼっちの女の子
お話しているかさの中
白いレィンシューズに
しずくが光る
光るしずくに涙が光る
木立も ぶらんこも
メリーゴーランドも
ベンチも みんなみんな
雨にぬれていた
木立も ぶらんこも
メリーゴーランドも
ベンチも みんなみんな
ねずみ色
この歌が素敵な理由のもう一つ、作曲が中村八大さんなのだ。あの「上を向いて歩こう」や「おさななじみ」「遠くへいきたい」を作った名ピアニストだ。中村さんはジャズでも伝説を残す凄いピアニストだった。植木等さんを現在取材しているが、中村さんの名前が登場する。終戦直後ジャズ全盛時代、横浜モガンボで行われたセッションはまさに歴史に残るものだった。このパーティを呼びかけたのが植木さんたちであり、応じたジャズマンの中に、若き中村八大もいた。そこには
渡辺貞夫、秋吉敏子ら、錚々たる音楽家ばかり。
メロディメーカーとしても、八大さんの才能が「夢で逢いましょう」で、いっきに花開いた。美しい曲を次々に世に送り出した。
本当に、この「雨の遊園地」をできるものなら、音を再生させて聞かせたい。かつてのミュージシャンの実力が偲ばれるのだ。
ちなみに、「みんなのうた」で歌ったのは、中尾ミエさんだった。
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