銀杏の日々
大磯のふれあい会館の傍に、東海道線の下を抜ける大きなトンネルがある。山側に出た坂道に大銀杏があって、毎年おびただしい落葉をまき散らす。今年も銀杏は美しい黄色の権化となって最後の時期をむかえていた。12月に入っても銀杏の葉の3分の2は残っている。
目黒の元公証役場のあった駐車場の隣にさざんかが白い美しい花をつけた。寒風のなか涼しげに花をなびかせている姿は清々しい。今年2013年も暮れようとしている。5日は忘年会を兼ねた同期会が開かれる。1970年に入社した仲間たちだが、もう大半は現役を退いているからめったに顔を合わせることもない。みんなどういう老いの日々を送っているのだろう。今度会ったら聞いてみたい。といっても会合に出て来るのは7、8人ぐらいで、残りのメンバーはここ十年ほど顔を見たことがない。
OBの組織で旧友会というのがあって、会員には毎年暮れになると会員の住所録が届く。今年も届いた。巻末に今年1年の間に物故した人の名簿がある。毎年、この住所録が届くと一番先に目を注ぐのはこの欄。今年も知り合いが4人ほど亡くなっていた。大阪の村岡さん、東京の生涯学習部の部長で上司だった岩下さん、BCCの庶務にいた中川さん、学校放送の石原さん。全員七十代で命終をむかえていた。去年の物故者名簿には大阪時代の先輩で大切な澤田さんの名前があった。長く患っていたから覚悟していたとはいえ67歳の死は早いと思ったことが忘れられない。
思えば、大阪をかわきりに東京、長崎、東京、広島、そして東京と全国を転勤して40年。各地でさまざまな人と出会い、お世話になった。交わしていた年賀状も年々少なくなり、今では百枚ほどになった。この葉書がある日パーッと風に舞って華やかに散っていく銀杏の葉と重なる。それぞれの人の消息が次第に消えていくよりも、消息をもたらさせる主体がいっそ消えたほうが美しい。
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