レオナール
病院の帰り東急文化村を通ると、ザ・ミュージアムで「レオナール・フジタ」展が開かれていた。ポスターの藤田嗣治の自画像にひかれて入った。平日の午前というのに、会場は中高年の男女でいっぱいだった。おそらく私と同じ年金世代であろう。グループで見に来ているからひそひそ絵の前で話し合うのが、やや気になる。独りで黙って見てくれれば嬉しいのだが。
日本にあるフジタの作品で構成された展覧会だった。もっとも多く所有しているのはポーラ美術館。といっても良いものは福岡市美術館、愛知県美術館、個人蔵であった。
有名な「乳白色の肌」の裸体画などはたしかにいいのだが、下絵となった鉛筆の素描「女眠る」の驚異的なデッサン力に心奪われ、ずっとそこに立ち尽くしてしまった。これは福岡市美術館の所蔵である。
先年、日本画家「小早川秋聲」を番組で取り上げたとき、戦争画の巨匠として東のフジタ、西の小早川ということでフジタの絵を克明に調べたことがあった。アッツ玉砕やノモンハンの絵がもつすさまじい迫力は、たとえ画集であっても迫るものがあった。小早川を除いた他の戦争画の追随を許さないものがあった。
この戦争翼賛の画家が、戦後フランスに渡ると、子どもを描いたり職人尽くしを作成したりしてまったく「メルヘン」の画家になってしまう。この変貌がいささか不自然に思えてならない。
本日、目にした絵はピースフルな作品ばかり。たしかにフジタの技量は計り知れない。輪郭線の繊細だけでなく、洗練された色使いには思わず「カッケイイ」と叫びたくなる。
およそ1時間、ミュージアムにとどまって、それからオフィスに向かった。途中、パン屋で豆パンを2個買う。
昼時、フジタ展のカタログをぱらぱらめくりながら、豆パン食す。
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