高い空に
日が翳ると少し涼しくなった気がする。先日、午後5時半に放送センター西口からバスに乗って、新宿駅西口まで出た。6時ごろになると地上は薄暗くなって半シルエット。人も車もみな影絵のようになるも、高い空には青空が残り、刷毛雲が穏やかにとどまっていた。空の青さが古代色に染まっている。三好達治の世界だ。こんな風景をあとどれぐらい見ることができるのだろう。
長かった夏も終わろうとしているのに、今年もどこへも行かなかった。行く時間がなかった。
こんな愚行は40歳を越えてから毎度のことだ。こどもが小さかった頃はお盆には敦賀へ帰省していた。父も健在で母も勤めに出ていたから、実家に帰ることを子供らも喜んだ。それも息子が小学校高学年ぐらいまでだったろう。中学生になった頃に、家族全員で帰省した記憶がない。あの頃から、仕事に追われることが続くようになった。家族旅行もめっきり減った。一方、仕事で地方や海外へ単独で出かけることが増えた。
今頃になって後悔している。なぜあのときもっと家族と旅することをしなかったのだろうかと。おそらく仕事が面白かったにちがいない。家族といっしょにいるより、番組のことを考えているほうが楽しかったにちがいない。だから、今の寂しい思いは当然の報いである。
昨日は大橋病院で泌尿器検査を受けた。3ヶ月ごとの検診で、相変わらずPSAの値は高い。春先の生検では前立腺にがん細胞はなかったが、主治医の話では予断はゆるさないそうだ。次の検診は11月と決まった。
この前立腺不調が旅に出ることを躊躇わせている。汽車はともかくバスや飛行機はトイレが自在でなく、窮境に陥る事が一再ではない。
先年、南海高野線に乗車したとき、普通電車だったがトイレがなく、かつ駅と駅の間隔が長かったこともあって往生した。その体験がずっとしこりになっている。
海外旅行となるとなおさらである。タイに行ったときもバンコックから郊外へ出るのに自家用タクシーを使ったが、渋滞の都心を抜出すのに二時間ほどかかった。その間、トイレタイムを要求することも外国人相手だとしづらい。我慢を重ねているぐらいなら、日本で暇をもてあますほうがよいと、心の底から思った。などということがざらざらと思い出されてくる。
昨日は、「課外授業」の編集上がりに立ち会った。今回の先輩は、日本語学者の金田一さん。自由に言葉を創ろうという授業はとても楽しいものになっている。出来るだけおおぜいの人に見てもらうために、少し早めにPRを仕掛けるとするか。
そして、今週土曜日には、6月に放送したサヘル・ローズさんたちと打ち上げが予定されている。画面でしか見た事がないが、どんな人物だろう。きっと苦労人で涙もろいのではないかと推定しているのだが。
このブログというのは不思議なキカイだ。誰に向かって書いているわけではないが、誰かが応えてくれる。けいこさんからメールをもらった。もちろん見知らぬ人だ。でも、メールを呉れた理由はすぐに分かった。山中出身で、敦賀と縁があったからとそのメールに書かれてあったから。たったそれだけの縁(よすが)で、このブログに「羽根」を休めに来てくれたのですね。ありがとう。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング