少年の日よ
先輩、猫翁さんの句を二六斎宗匠が絶賛していた。その評を読んで感動した。
遠くより囃子きこゆる屋根涼み
この掲句を宗匠はこう解読している。
《作者はいま時間と空間を越えて、をさなの涼みの世界に静かに腰を下ろしている。屋根瓦は昼のぬくみを少し残しながら、夕風にさらされてひんやりと裸足に心地よい。(略)遠くに灯りが広がる一角が見えて、その方角から盆踊りのはやしが屋根の高さに漏れきこえてくる。取り戻すことができない時間が、無数の灯りと闇のなかにたゆたふ》
実景句でなく、想望の句として作者の心境を宗匠は正確に読み解いている。句にも評にも感動した。
猫翁さんは今闘病している。山陰生まれのその人は関東の山間から遠く少年の日を眺めている。普段、軽口ばかりたたいている猫翁さんがかくも澄んだ世界に眼差しを飛ばしていることに一瞬言葉を失う。
今年に入って、句会、俳句にずいぶんご無沙汰した。多忙という理由だったが、秋から少し心を入れ替えよう。出来るだけ例会に出席するよう努力しよう。猫翁さんとまた酒を飲みたい。
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