ちょっと、いい話を聞いた。
高名なスポーツライターが、今大リーグと秋田野球に執心だそうだ。
なぜ秋田野球か――。
数年前、行われた秋田県大会決勝戦は稀にみる好勝負になったことがある。
逆転に次ぐ逆転のシーソーゲームとなり、延長戦でキャッチャーフライが揚がった。
闘志あふれる捕手は追いかけた。球は相手チームのベンチ前まで飛んだ。
彼はキャッチした。そこは相手のベンチ真ん前だった。彼は吠えた。
「おれらも一生懸命やるから、おまえらも気合を入れて頑張れ!」と。
いいなあ。この少年の肩をたたいて、誉めてあげたい。一途、一生懸命。
まさに野球道だ。
今、大リーグでイチローや野茂、松井らは武士道をゆく武芸者のような存在として見られているそうだ。筋肉増強剤などで、作られたベースボールと違って、求道としての野球が新鮮に思えるのだ。
秋田の高校生からイチローまで、日本の野球道は誇らしい。

もう一つ、いい話。
寝たきりのおばあさんの話。
ある病院で、一人のおばあさんの頭の良さが話題になった。看護の世話になるとき
その人はいちいち名前で呼ぶのだ。山本さんとか林さんとか。
けっして先生とか看護婦さんとかで呼ばないのだ。よく名前を一つ一つ覚えたものだと
スタッフの間で評判になったのだ。
そこへ取材に出かけたアナウンサーがおばあさんに「どうして、名前を呼ぶのですか」と聞いた。すると、こう言った。
「私は寝たきりで何もできない、お世話を受けるだけです。でも、何か一つでもいいから
私のできることはないかと考えました。私が介護、看護をうけるとき、一人一人のお名前で呼びかけたり感謝を表したりしたらどうだろう。それなら私にできる」
そう考えて、おばあさんは懸命にスタッフの名前を覚えたという。けっして頭がいいからではなかったのだ。
この話を教えてくれた人は私とそれほど歳は違わない。が、7歳を頭に5歳、3歳と三人の子どもがいる。大変だ、忙しいと言いながら、満面喜色だ。
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