テレビ批評家という人種
テレビのランキングを開いてみると、並んでいるブログの大半は
ドラマに関するものばかり。ドラマはコンテンツ全体の2、3割しかないのに、
なぜテレビの他の番組、例えばドキュメンタリーや情報番組を論じないのだろう。やはり、一般の人にとってテレビの批評や感想はドラマにしか興趣がわかないのだろうか。
テレビ批評誌の誌面ですらドラマに多くを割く。かりにドキュメンタリーについて述べても批評家の意見は少々ピントがずれている。美辞のナレーションを誉めたり、ご都合主義の構成を持ち上げたりすることが目に付く。いや、そんなふうに見えるのは、私のひがみか。特に、絵葉書のような画を美しいといって褒め上げるのを見ていると、どこに目をつけているの、やはり現場を知らない人には分らないのと、失望する。印象批評以上のものは無理なのだろうか。
制作者の立場で言えば、スクープであったり新しい演出に挑戦したりしたことを、ほとんど見過ごされたり見逃されたりしていると、やりきれない。
数年前、作家と称する女性が週刊誌のテレビ時評を担当していた。その人は、その欄を担当するにあたり、制作の内側など知る必要はないと高言した。むろん、それなりの
教養があれば「表現」の手法や技術も見抜くことはできるはず。凄い人が登用されたと、その週刊誌の見識におそれいった。
ところが、彼女は頓珍漢だった。どうでもいいことを意味があると勝手に解釈したり、
作り手はそんなつもりでないことを大袈裟に評価したりした。そういう発見をする自分の
能力を誇った。メディアが起こした事件には放送批評家をきどってコメントまでした。
だが、テレビというものをまるっきり分っていなかった。それを言われると、「素人」という場で開き直った。
今、考えてみるとそれは時評ではなく、テレビをネタにしたコラムだったのだ。単に
テレビの井戸端会議を、東大出の女性作家という肩書でやっていたのだ。なのに私は、私の番組を
「批評」されると、ムキになった。当時の私もそのレベルだったのだと悔やむばかり。
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