春のうららかな週末
結婚式に出席した。知人の息女が有楽町の有名ホテルで華燭の典を執り行うので出てほしいと依頼され、数年ぶりに豪華な結婚式に参列した。
その披露宴は午後4時からだったので、少し早めに出かけて日比谷公園を散歩した。
暑くもなく寒くもない穏やかな日だから、公園にはおおぜいの花見客がいた。宴会の客はそれほどもおらず、幼い子供連れの若夫婦が目についた。
桜は満開。やや白めの染井吉野があちこちで咲き誇っていた。
日比谷公園のそばには第1生命ビルが堂々とある。占領時代、GHQがあった場所だ。なるほど皇居と対峙するような恰好の地にあると、なんとなく昭和史の秘密に触れた気がした。
さて、ペニンシュラホテルで開かれた披露宴は出席者100名を超す豪勢なものだった。慶応大学出の公認会計士とその花嫁の催す宴とはこういうものかと、会場の設備や食卓に好奇の目を向けた。新郎は佐渡、新婦は長野出身ということもあって、メニューのタイトルは「佐渡&信州、幸せの五線譜」。佐渡のエスカルゴ(さざえ)、信州牛のローストビーフなど豊富な食材で彩られていた。これまでに出た結婚式でもっとも盛大なものであった。
8時、式が終わって有楽町の駅に向かう。日が暮れると風が冷たく、町は意外に華やかさを失っていた。シャンペンとワインをいささか飲み過ぎたようで山手線を乗り過ごし、行ったり来たりを2度ほど繰り返した。
帰り着いて、一風呂浴びたら目が冴えた。金曜日にレンタルしておいたDVDを見始めた。
韓国映画「カエル殺人事件」。去年封切られて話題になった作品だ。噂に違わず、なかなかの力作であった。2時間半、飽きることもなく見た。
その後、「爆笑オンエアバトル」を30分ほど見て、午前1時、ベッドに潜り込んだ。こういう人生の午後ってどんなものだろう。眠りに落ちていく間、苦い悔いのようなものが喉元あたりにあった。
日比谷公園の桜。
花見の客。