昨夜の風はすごかったね
いつもより早く、午後10時過ぎに床についた。目を閉じて、しばらくすると豪風が吹いた。ベランダの洗濯物が外れたのではないかと思うほど、すさまじい風が音をたてて吹き抜けた。一度で終わらない。強い風はそれから小一時間続いた。
その後は眠りの世界に入ったので覚えていない。午前2時、厠で目が覚めたときは、風は止んでいた。
それにしても昨夜の風のすさまじいことは台風並みだった。
今年の冬から春への気象は世界的に変だ。日本の豪雪だけかと思っていたら、先週はヨーロッパでもあったし、2月にはニューヨークもふぶきに見舞われた。偏西風の蛇行が歪んで、北極の冷気が一部低緯度帯にまで降りてきているのが原因らしい。
今日で終わりということ
不思議な気がするね 不思議さ
風が吹いてる コブシがゆれてる
卒業だ さよなら
いつかふたりが会ったら
ぼくだとわかるかな きみだと
早春には、いつもこの『キルプの軍団』(大江健三郎)のなかに書かれた「卒業」という詩を思う。
〔さよなら〕から〔いつかふたり〕までの間、どれほどの時間が流れたのだろう。その長い時間の果てに再会できた喜びが、この詩のなかから響いてくる。
小説の人物が養護学校を卒業するときに書かれたという設定になっているが、もう少し深読みをして、この世の卒業という状況で生まれた詩と考えたい。
この世を卒業し転生を繰り返して、再会したとき、きみは想像もつかないほど変わっていた。顔の表情だけでない、言葉づかいも、態度も、ぼくの知っているきみとはまったく違うきみだった。
だけど、会ったときからすぐ分かったんだ、きみだって。きみだってぼくだということがわかっていたように。
こぶしを揺らすほどのそよ風が吹く「世界」で、大江さんとおぼしきぼくと、光さんがモデルのきみが再会する様子が目に浮かんでくる。
注:この詩には後に曲がついた。大江光の作曲で、最初のCDに収録されているはずだ。
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