ルポ 浅草三社祭 2
ひさご通りに向かう。ふだん閑散としているアーケードも今宵は人が多い。
すき焼きの米久も、どうやら『猫の手を借りたい』状態らしい。
アーケードを抜けると、正面から神輿4台がやって来る。今晩最高の見せ場だ。
人垣が見る見る大きくなる。やがて4台の神輿は大通りの手前でストップし
休憩となった。
たちまち、缶ビールが氏子に手渡されてミニ宴会があちこちで始まる。
近所の誼か、互いに写真を撮ったり乾杯したり騒々しい。
青年は酒をガブガブ飲み干す。娘は鏡で髪を直す。どの顔も満面の笑みだ。
氏子の半纏を見ると「浅三」「寿一」とか「箕輪」とか町名が染めこまれている。
男女とも姿が粋で美しい。
JUNKOさんとアキコさんのお目当ては高橋組だが、ここには見当たらない。
高橋組の担ぎ手は全員男性で女子はいない。背中に倶梨伽羅紋々を入れた、その筋の
人が多いとか。紋々をつけて神輿に登ると、25万円の罰金が取られるそうだが、
高橋組の連中は罰金覚悟で登場するそうだ。荒ぶる魂の神様がその神輿にはいるの
だろうか。高橋組は表通りに行ったらしい。

20分休憩した7時15分過ぎ、神輿は上がった。4台の神輿はそれぞれ地元へと
帰っていく。この出動のときの景色がよかった。神輿の取っ手に仁王立ちしたリーダー
がかけ声と共にチョーン、チョーン、チョーンと拍子木をうつ。打ち終わると彼はそのまま後方へ
倒れこむ。それを合図に神輿がスクッと上がる。たちまち「ソイヤー」と「ター」の連呼が
始まる。
夜目にも鮮やかな鳳凰が神輿のテッペンで踊りながら、通の向こうに消えていった。
ふと空を見上げると、月がおぼろに浮かんでいた。

(この記事つづく)
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