遠雷
昨夜は対イラクのサッカー試合が終わる頃から遠雷が鳴り始めた。蒸し暑い夜だから、一雨来てくれるとありがたいと願っていたが、ほんの少しお湿りがあっただけで本降りはなかった。
このところ原発事故の資料や参考書を読みふけっているので、「ウソだらけの報道」とか「新聞は嘘ばかり」とか「新聞は正しく伝えたか」といったキャッチコピーにすぐ反応する。
今朝も、ネットでTBSキャスターの金平さんのデジタルコラム「日本のテレビ局はなぜ反原発の動きを報じ損ねたのか?」に目が向いた。
3・11の過酷な原発事故は日本の市民の意識をかなり変えた、SNSや自由な活動を通してこの問題に対して当事者性を感じ取った市民が急激に増えたのではないかと、金平氏は推測する。官邸デモでは、4万にものぼるデモ参加者があるにもかかわらず、まったく報道しない大手メディアの取材に対して、市民から「帰れ」コールが出ている厳しい現実。今、原発をめぐって肯定派と反対派の2つの流れの報道があることを指摘し、肯定派が大規模な市民デモをまったく無視している態度の不自然さに疑問を呈していた。
テレビも例外でない。昨夜の9時のワイドニュースでも、東北大震災1年半という特集を組んでいたが、原発事故はほとんど報じられることなく、岩手、宮城の津波震災の復興ばかりに終始している。キャスターが現地に出向いて父を津波で亡くした中学生球児とキャッチボールする光景までリポートのなかにとりこむ姿勢には鼻持ちならないものを感じた。
位相は少し違うが、財務大臣の自死に関する「報道」にしても違和感をもった。12日発売の週刊新潮でかの人の女性問題を扱った記事を掲載する予定だったそうだ。どうやらそれを苦にして大臣は自裁したと思われるが、その原因を作った週刊誌の編集部はこんなコメントを出している。「亡くなられたと聞いて驚いています。心よりお悔やみ申し上げます」なんだか他所事みたいないいかただ。この週刊誌の醜聞記事がなければ、ひとつの命は存続したのに、興味本位、面白半分の記事で、ひとりの男の苦悩が死にまで至らせたのだ。
「心よりお悔やみ申し上げます」という言葉の白々しさ。
権力をもつ人物というのは、いつも公人としてチェックを受けるのだから、この記事もそのひとつに過ぎないと編集部は考えるだろうが、どうもそういう志をもって記事化したとは思えない。むしろ、井戸端スキャンダルとして格好の餌食にしたのではないだろうか。
元宮崎県知事が現役中20人もの女性と乱行におよんだというような記事は、当人の2枚舌性もふくめてしっかり批判すればよいと、記事を肯定する気にもなるが、財務大臣の場合はどうもそれですまないものを感じる。
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