記憶継承
67年前に起きた広島原爆の惨劇。実際に体験している人たちの平均年齢が78歳を超えたという。あまりに高齢化した。現在生き残っている被爆者で体験を証言する人たちの大半は、あの当時就学以前の幼児だったのだ。
ニュースで二人の被爆者が紹介された。ひとりは、折鶴の禎子さんの兄佐々木雅弘さん(71)、もうひとりはベルリンの日本大使館で被爆の体験を語った映像作家の田辺正章さん(74)だ。
原爆が投下されたとき、佐々木さんは4歳、田辺さんは8歳。物心がつくかつかないかの年齢だ。これぐらいの世代が被爆体験を語ることができるだろうか。案の定、田辺さんのスピーチの大半は戦後の過酷で残酷な被爆者の暮らしを中心に語っていた(ようだ)。
実際に体験した人ですら、年少者の証言は危ういものになりがち。ましてや、戦後生まれでまったく体験していない者が「代理」として証言することもある、広島市の伝承者養成事業というのはどれほど意味があるものになるのだろうか。
この事業を批判して廃案にしたいわけではない。たしかに被爆1世が次々に世を去っていく今日、生々しい口述の被爆体験が消えていくことは重大な喪失であり、座して傍観することはできない。
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