国会包囲
陽が落ちた5時過ぎ、日比谷に向かった。地下鉄の駅からおおぜいの年配の男女が列をなしている。私と同世代の60代と見受けた。みな今夕の国会包囲のデモに参加する人たちと思われる。髪には白いものが混じっているのが目につくが、生き生きした顔が感動的だ。
日比谷公園の入り口に出ると、大音響がこぼれてくる。「再稼働反対。大飯をとめろ。」地鳴りのようなシュプレヒコールが響いてくる。
新橋に向かうデモ隊の列に加わって霞ヶ関まで歩いた。デモの人波は東京電力本社前や経済産業省前を通っていく。灯をともしたろうそくやペンライトを空にむかって人々は掲げる。東京電力前では「原発要らない」「再稼働反対」の声がひときわ高まった。といっても実に整然と行進が流れて行く。30年前の労組の単産から送り込まれたときの荒れたデモとまったく違う雰囲気だ。親子連れ、老年の夫婦といった顔ぶれが圧倒的に多い。空にはヘリコが4機浮かんでホバリングしている。ずっと無視してきた大メディアもいよいよこの声なき声の大衆を見据えるときが来たようだ。それにしても外国人の取材が目につくが、新聞社、放送局の腕章を巻いたものが一人も見ないのが気にかかる。
デモは1500メートルほど歩いて、そのまま国会議事堂へと流れて行く。
議事堂正門前には驚くべき数の民衆が結集していた。あとでネットで調べると、当局発表で1万数千人とある。冗談じゃない。そんな小さな数ではない。
警備のための過小評価という言い分かもしれないが、日本の民主主義をねじ曲げる悪辣な策動だといいたい。私の見立てで3万から5万の群衆。否、10万近い数かもしれない。
原発」を訴えるデモ行進は、「原発やめろ、野田やめろ」と政治的スローガンが混じっていることになにか新しいうねりのようなものを感じた。
参加している人々の表情が穏やかでかつ理性的だ。そのくせ、なにか変革の期待がいりまじる祝祭空間が、国会前に現出していた。
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