盆踊り
門前仲町まで足を伸ばして富岡八幡さまにお参りしてきた。夕暮れの下町は美しい。
帰り道、立ち飲みやで冷やをいっぱいひっかけて地下鉄銀座線で恵比寿まで出た。
JRに乗り換えようと駅前に出ると、大音量で「炭坑節」が流れて、おおぜいの人が浴衣がけで踊っている。
白人の親子連れや青い目のカップルが目につく。手足をそろえてみな楽しそうに踊っている。おそらく広尾あたりの大使館関係の人たちであろう。
曲が恵比寿音頭のようなソウル風に変わると、踊りの振り付けもヨサコイソーランのように活きのいいものになる。盆踊りの列の進行も一段と早くなる。音楽の途中でブレイクが入ると、いっせいに「うー、わー」というかけ声がかかる。老いも若きも、黒い瞳も青い目も、男女を問わず喜色満面。万国納涼盆踊り、平和な光景だ。
会社を出る前に、京都の学生から連絡が入った。今月末締め切りの、放送局の後期採用エントリーシートを検分してほしいというのだ。よく聞くと、後期試験の応募が月曜日消印まで有効ということで慌ててその学生はシートを作成した。その仕上げたシートを私にチェックしてアドバイスしてほしいというのだ。いまから出かけようという直前のぶしつけな申し出に、いささか腹が立った。「いったい、今まで何をしていたんだよ」と声荒くして叱った。
こっちの事情などおかまい抜きで、自分勝手な頼みごとをするいまどきの学生気質。あまったれた根性に腹がたつ。
といっても窮鳥懐にいれば猟師もなんとかの例えもある。仕方ないので5項目3000字ほどの分量を読み下して、問題点を洗い出した。
その仕事が終わったのが6時前。現在、編集作業中のETV特集のチームに資料を届けに赤坂編集室まで行く。そこで、週末の作業予定や連絡先をたしかめ打ち合わせたあと、門前仲町まで出向いたのだ。
帰宅したもののあまりの暑さで読書する気にもなれず、テレビをつけてみたもののつまらない。お笑い芸人のどうでもいい体験談か夏の熱中症対策の情報番組か相も変わらず安易で思考が伸び切ったような番組ばかり。
これならまだ小説を読むほうがいいと、話題になっている三木卓の『K』をベッドに寝転がって読む。Kとは三木の72歳で亡くなった妻のこと。小説といっても題材はノンフィクション。これって私小説と考えるべきなのかしらむ。
――気づくと、よだれを垂らして胃眠っていた。
来る日曜日は目白遊俳倶楽部の句会ではあるが、反原発の集会に参加してみようと考えているので今回は投句しないつもり。というか、この半月俳句のことはまったく失念していた。句境をいだくことは芥子の粒ほどなかった。あわてて季語帳をとりだしても遅い。今回はいさぎよく出稿するのをやめて他のメンバーの作品をじっくり拝見しよう。
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