17万の声
各テレビ局のニュースの編集責任者はどういうつもりで脱原発の17万の声を無視しているのだろうか。昨夜の11時のニュースのオーダーを注意して見たが、「さようなら原発10万人集会」のことがほとんど報じられていない。それはなくともロッテが勝利をおさめ巨人が首位をかためたというスポーツの話題がそれぞれ1分もかけているのに、17万の声なき声の行動がまったく扱われないという「歪み」。
昨日の天候は度を越えていた。午前中から30度を上回り、正午には渋谷で炎天下にあれば35度を越えていただろう。まさに炎天のなかを私は会場の代々木公園をめざした。「暑い」。用心のためペットボトルの大きいやつをセブンイレブンで購入する。センター街をぬけて公園通りの坂道を登るあたりでは、集会参加者が目につくということもない。センター街に遊びに来た若者たちの顔のほうが多い。きっとこの暑さで高齢者や家族持ちは志があっても参加することをためらったのではないだろうかと、会が低調であることを危惧した。
ところが東武ホテルのあたりから人の群れが一段と密になり、公園入り口では入場規制を受けなければならないほどの人の数となった。すべて10万人集会に向かう人たちだ。しかも参加者の顔ぶれをうかがうと年配が多い。私と同世代の団塊以上古稀世代が目につく。組織としての参加でなく明らかに個人参加だ。手にしているプラカードの文言は「孫にだけは安全を」というようなものが多い。
集会が始まり、スピーカーを通して呼びかけ人の挨拶が始まった。懐かしい大江さんの声がする。大江さんの話は敬愛する中野重治と家族が治安維持法で弾圧されたときのエピソード。中野のみならず、妻も赤子である長女も警察に拘引されたとき、中野の家人は「私らは侮辱のなかにあります」という感慨を表明したという。その例と変わらない状況が今目の前にあると大江さんは訴える。灼熱の太陽を浴びながら、私は大江さんの声に耳を傾けた。
77歳の大江さんに続いて84歳の澤地久枝、90歳の瀬戸内寂聴が登場して、さようなら原発のメッセージを力強く語る。途中、主催者から本日の参加者の数が17万を越えたという報告。たしかに10万をはるかに越えた人の波が幾重にも代々木の森に広がっている。だが、警察発表では1万とか2万という実態とかけはなれた数が、後刻報じられるのだろうか。その虚報することを恥だと当事者は感じないのであろうか。これでは大津市の教育委員会と同じ愚劣な存在でしかない。
同様のことがテレビ報道で起こっていないだろうか。なんの政治的背景をもたない市民たちが、脱原発というスローガンだけに10万を越える数の規模で集まったという事実を無視する。一方、ネットではかなり詳細なリポートがおおぜいの人の手で記される。このメディア差は近い将来大きな結果を生み出すことになるのではないか。
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