けむりの重さ
ツタヤで旧作をレンタルする料金が一律100円になったから、ついその気になって借りてしまうことが多くなった。
先週末にも、「愛を読むひと」「野菊のごとき君なりき」「スモーク」の3本を借りておいた。空き時間をみつけてちょこちょこ見ている。
昨夜は「スモーク」を見た。ポール・オースターの「Auggie Wren's Christmas Story」(1992)が原作で、映画化には日本側の制作協力もあって、日本の映画ファンには知られた映画だったが、私にとって見るのは初めての作品。
村上春樹・柴田元幸らが高い評価をあたえるオースターなので、映画にも期待した。その期待は裏切られず、まずまず後味の悪くない作品だった。
それにしても主演のハーヴェイ・カイテル、ウィリアム・ハートはしぶくて心を奪われる、うまい役者だ。
ブルックリンで雑貨屋をいとなむオーギー・レンの周りで起きた出来事を淡くさらりと描いている。最初、この映画の監督にヴィム・ベンダースを予定していたと解説にあるが、さもありなむ。日本人好みの小説であり、映画化だ。
オースターも村上も、みな私と同世代。それぞれ良い仕事を着々としていることに羨望を禁じ得ない。
ところで「スモーク」は、けむりの重さを主題とするのだが、言い換えると魂の重さかもしれない。人間の生体の体重から死体の体重を引くと、いささかのずれが生じることが起きる。そのずれの重さが魂の重さだという話を、どこかで読んだことを思い出した。
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