新しい人
前年度、2011年度の仕事は美術番組であったり文楽ドキュメンタリーであったりで、硬いアートドキュメントを作ってきたのが、今年の2月ごろから流れが変わった。俳優、玉木宏、モデル押切もえ、といったプロの人たちが仕事のメインになったのだ。
玉木の作品は昨日やっと完成した。押切の作品は五月のスカイツリーオープンに合わせての6本放送で、現在、編集中。本日の6時から、第1話と第2話の第2回局試写が行われる。まだ制作途上。
この2種類の「芸能番組に近いドキュメンタリー」の仕事は楽しかった。登場する人物のキャラクターが実に魅力的だったのだ。これまで、役者とかタレントとか呼ばれる芸能人というのは、カメラの前ではいい人でも、普段はそうでもないという人が多かった。我がままだったり自分勝手な人が目についた。だから、私は「芸能番組」にはできるだけ離れて仕事をしてきたのだが、今回付き合った人たちは、従来の芸能人とは少し違うタイプの人たちのように思えた。ふたりとも、自分の意見をしっかり持っている。けっして手抜きをしない。番組の「軽重」などということに重きをおかない。大河ドラマは一生懸命やるが、BSのドキュメンタリーは休養を兼ねて好きなように演じる、といった昔のタイプではなかった。ドキュメンタリーにも一生懸命力を注いだのだ。
押切さんのことは、これから追々話していくことにして、明日放送の玉木さんのことを書いておこう。2月5日、穂高山麓の温泉町で、私は玉木さんと初めて会った。前日まで大河ドラマの仕事をして、朝一番、車で東京を発って北アルプス山系に入って来たのだ。2月の奥飛騨は豪雪で一面銀世界。そこへ到着したとき、玉木さんは靴下もはかず、登山シューズもキャラバンシューズもつけず、裸足にサンダルというスタイルだった。見るからに寒そうないでたちに「どうしたの」と聞くと、「ぼくは靴で足を縛られるのが嫌で、なるべく拘束のない状態が好きなんですよ」と明るく答える。端正な顔立ちと裸足サンダルの姿。まったく釣り合いがとれていない。「変わってるなあ」というのが第1印象だった。
だが、実際に雪山行の体勢になったときには、玉木さんの眼つきは変わっていた。羊のようなどんぐり眼が鷹のような鋭いものになっていた。3000メートル級の高山に挑むというファイトが見るから溢れていた。足元はがっちりした登山靴で固めていた。20キロ以上の大荷物を担いだ玉木さんはすっかり山男に変貌していた。
こうして、丸3昼夜、西穂高山荘をベースに何回か玉木さんは雪山に挑戦するのだが、ネタバレは避けておこう。その首尾、経過、結果については、番組をご覧いただいて楽しんでいただきたい。
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