近来稀な多忙の日々
30日からずっと都内ロケが続き、その合間に「裸にしたい男」の編集試写が断続的に行われた。土日も仕事という慌ただしさが続いた。おまけに都内ロケは現地到着8時半ということで家を出るのが7時過ぎ。起きるのが、毎朝6時という日が続いた。矢切の渡しや帝釈天、向島百花園、深川、舎人と野外のロケで少し日に焼けた。ロケバス移動でおおいに揺られて、いささか体もまいった。昨日の朝、洗面しながら鏡を見ると、顔がしなびていた。瞼に縮緬じわが幾筋も出来、おとがいあたりがげっそり落ちた気がする。
体力的にはきつかったものの、ロケ自体は楽しく、初めて訪れる下町の景色や風情を堪能することができた。
なかでも矢切は土曜日の大風が吹いた日に渡し船に乗った。風速10メートルを超える突風が吹き荒れていたので、安全管理上、出演者、スタッフといっしょに船に乗った。川幅は30メートルはあるだろうか、千葉県側から都内に向かって船を出した。白波がたっていたが、船は思ったほど揺れなかった。船上、番組キャスターの押切もえさんが、船の舳先に座ってリポートを敢行。カメラマンは体を船底にしっかり据えながら、美しいもえさんの姿を切り取る。彼女の背中にくっきりとスカイツリーが浮かび上がって居た。見かけの細い体に似合わず、もえさんは豪胆でおきゃん。春の大風で揺れる渡し船を楽しみ、舎人の神社の境内では小学生男子を相手にサッカーボールを蹴飛ばしていた。
心に残ったのが向島百花園。園内はちょうど春到来したところで、かたくりの可憐な花を見ることが出来た。日曜日とあって、朝早くから年配の観客が押し寄せていた。幾組か、句会の集まりを見かけ、久しぶりに句心を刺激された。今、撮影しているのはスカイツリーオープンに合わせての特番だが、テキストは40年前に書かれた石田波郷の「江東歳時記」。いきおい、俳句の生まれたえにしをたどることになる。願ってもない「旅」であった。
この多忙を縫うように、日曜の夜には銀座で高名な評論家ご一行と会って新しい企画の相談もした。銀座みゆき通りのオープンカフェで待ち合わせをしたのだが、時間を間違えた。4時間空いたので、有楽町の映画館で話題のサッチャー伝を見る。メリル・ストリープの演技が話題になっているせいか、館内は満員。期待したが、おおいに外れた。
昨夜は赤坂で試写。仕上げまであと4日と迫り、チェックも厳しくなる。議論が3時間以上続いた。終わって、局プロデューサーのKさんと居酒屋で楽しく飲んだ。番組作りが好きなKさんとは気があう。とにかく一生懸命番組本位で考える人は気持ちがいい。50代に入ったばかりのKさんは今脂がのっている。番組イメージがふつふつと湧いているのが傍からもよく見える。10年前は、オレもそうだったなあと半分うらやましい。残り半分は、あんな「激務」を続けていたから倒れることになったから、もういちどくりかえしたいとは思わないというツラミ。ふたつ好いことはないもの、と河合隼雄さんに教えていただいた言葉を思い出す。
かくして多忙の日々を過ごして、今朝起きると、目やにがいっぱいたまっていた。気は張っているが、体は相当疲れていると自覚する。でも仕事が出来ることは有り難い。
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