定年再出発 |
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2つの原爆映画
原爆に関してのラジオ放送は、被爆直後から始まっていたが、映像としての放送つまりテレビ放送が実現するまでには12年ほどの年月を要することになる。この間、米軍による検閲という時期もあったにせよ、原爆の映像がまったく人々の目に触れることがなかったわけではない。映画がその役割を果たしていたのだ。ニュース映画もあったが、2本の劇映画が製作され、全国で上映されて、広島で起きた出来事を伝えた。その映画は、事件は過去の物語でとどまることなく現在も悲劇が進行しているという原爆の事実を描いて、日本人に深い衝撃を与えた。 1952年8月に公開された「原爆の子」(新藤兼人監督)と1953年8月に封切られた「ひろしま」(関川秀雄監督)。この2本とも、51年に刊行された文集『原爆の子』(長田新編、岩波書店)という広島の被爆した子供たちの体験をもとにして、作られた映画である。 新藤の場合、原作からいったんはなれて、「新たなオリジナルシナリオ」を自ら書いて映画を撮った。幼稚園の先生だった若い女性たか子は8月6日被爆して、その後島へ逃れて教師をしている。そのたか子が7年ぶりに広島へもどって、かつての園児たちと再会するという物語。 関川作品は、文集をそのまま八木保太郎によってシナリオ化して映画を撮っている。高校生のみち子はある日白血病で倒れる。その病床にあって、あの原爆に遭遇してからの出来事を回想するという構造で話が組み立てられている。このなかで、みち子の同級生の男子が、この広島の悲惨を世界の人よりも日本中の人たちに知ってほしいと叫ぶ場面がある。被爆から7年しか経っていないこの時期、広島の出来事はよその地域ではまだほとんど知られていなかったのである。 この2本の映画は、原爆投下された瞬間を描く映像の技法においては対照的で、後に映像表現上大きな意味をもつことになるので、やや詳しく検討する。 関川は原爆という未曾有の災厄を描くことに渾身の力を揮った。爆弾が炸裂して阿鼻叫喚の地獄となった場面を再現することに多大の力を注いだ。〈B29の爆音を聞きつけて、不安そうな女子学生や教師たち。その瞬間、画面が白くなり、ほこりが立ち、家が潰れ、馬が衝撃で倒れ、やがて死者、負傷者が延々と大地に横たわっているという光景に大きく変化。倒壊した家屋の下敷きになってうめく人々。発生した火災に追われて水の中へ逃げ込む生徒や教師。〉この被爆の場面のために8万人を超えるエキストラを動員し、太田川の現場で火炎を再現するなど、可能なかぎりの「演出」をして、関川は原子爆弾の悲惨、非人道性を表そうとした。 一方、新藤は原爆が落ちた瞬間を「生で」描くことを避けて、象徴的なカットを連ねるモンタージュで惨劇を表した。〈迫ってくるB29、河原で子供たちがキャッチボールをしている、母の乳房をしゃぶる赤ん坊、秒針が動く、ひまわりがしぼむ、〉から爆発後の〈死んだ母の乳房にすがりついて泣き叫ぶ赤ん坊、小鳥が鳥かごの中で焼け死ぬ〉という一連のカット群である。運命の瞬間の再現には膨大なカネがかかるから、この手法をとったと新藤は正直に記している。だが、爆心の地獄そのものを描くことができなかったことを新藤は今も悔いていて、将来「ヒロシマ」という映画を作って、そのなかで巨費を投じて被災、被災直後を映像化したいと新藤は熱く語っている。現在99歳の新藤はまだ映画を撮り続けている。 原爆の「残酷」をいかに描くか表すかは大きな問題である。再び新藤の言葉を引く。 《1秒2秒3秒の間に何が起きたか、白閃光に人間が焼かれ、爆風に吹き飛ばされ、何万という人間が悶絶した、その実態は、だれも示していない。》 原爆を映像化するとき、劇映画であれドキュメンタリーであれ、この表現が作品の質に大いに影響する。テレビドキュメンタリーではだいたい3つの技法を多く用いてきた。 一つめが新藤さんが採用したモンタージュ。テレビ現場ではイメージカットと呼ばれている。2つ目は、広島に投下された実際のきのこ雲の映像で運命の瞬間を表す技法。3つめは、画面を真っ白に塗りつぶすホワイトアウトの技法。これらの技法を用いるとき、共通に大切なことは、同時に流れる音響だ。その効果音が映像の指示する意味をさらに強化する。 なぜ、こんなことを考えたか。 あらためて、日本人の原爆観はテレビというメディアを通して形成されていると知る。では、いつごろから今のような8月ジャーナリズムになっていったのかを俄然知りたくなった。去年の3/11以来、原爆、核というものが、われわれの脳の襞にどう染み込んでいるのかを腑分けすることが肝要じゃないだろうか。 来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
by yamato-y
| 2012-03-25 16:49
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