3・11 つらい映像
その映像が悪いわけではないが、見るものの心を大きくえぐる。映像の専門家として仕事をしてきた者ですら、免疫がないのだということを知った。
昨夜遅く見始めたNスペの再放送で、あの大地震と津波の映像が幾度も登場した。15分ほど経過した頃異変を感じた。冷や汗が出て、心臓が早鳴りをはじめた。気分が悪くなりトイレに駆け込んだ。だが吐くこともないが、胸あたりに何かが溜まっている気がしてならない。
3月11日になった。朝からテレビ各局は、東日本大震災の特集を次々に流している。そこには、あの恐ろしい映像がくりかえし出て来る。もうやめてくれと叫びたくなる。見るのを止めようかとも思う。だが、目をそらさずに見る義務がおまえにはあるだろうと言われているような気がして、オフのスィッチを押すことはできない。
震災特番を5時間以上も見ていると、番組の作り方、コメントの表現があるパターンになってきていることに気づく。このことをあげつらうことは簡単だが、ではそれに代わるものを提案できるかというと、なかなか思いつかないのも事実である。
夕方、試写で赤坂まで出かける。ジャクソン・ポロックの美術ドキュメンタリーを今手がけている。その第1回目の試写が行われた。昔から知り合いのディレクターあさのくんが担当しているので、それなりにいい作品に仕上げていることを期待していたら、ほぼその通りだった。さすが、能力が高い。次回に向けての議論も1時間だけで終えることが出来、早めに家に戻ることにした。
帰宅後、ETV特集「ネットワークで作る汚染地図・第5話」を見た。ものすごく長い前提を積み上げてある成果をの結びに導いていた。珍しい構成だが、きちんとした裏付けをとり、取材交渉も正面からぶつかっていて、実に堂々としたドキュメンタリーだった。若手のディレクターたちが粘り強い取材を重ねていることが、びしびし伝わってきた。
それにしても、90歳近い岡野真治博士の頭脳の明晰には驚く。30年前、いっしょに黒い雨のあとを追いかけた時代と少しも変わっていない。この人のドキュメンタリーこそ撮っておくべきじゃないのか。
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