
ソナチアン
「冬のソナタ」の特番を構想したとき、冬のソナタファンとはどういう人たちだろうと
いう疑問がまず湧いた。
それを把握するために、ファンレターや反響の手紙を読むことにした。およそ1万の中からその3分の一ほどを3日かけて読んだ。
読み終えて、驚いた。魂消たといっていいかもしれない。手紙のほとんど、9割が女性、しかも30代の働き盛りから、40、50、60代の熟年だった。
30代、40代の人たちはともかく、恋愛、ということから疎くなっていると思われる女性たちがこのドラマを強く支持していた。手紙の表現も筆跡も落ち着いた品性があった。
だが、内容は熱く情熱的ですらあった。中には「私はミニョンさんに恋する80歳の
乙女です」というものがあった。長く忘れていたものを思い出したという声もあった。
その熱心さに、私はほだされた。日頃声を挙げることなく静かにつつましく生きてこられた大人の、この女性たちのために、特番を作ろうと決意した。この人たちが喜ぶ顔を見たいと思ったのだ。
番組を進行していく際、こういう人たちを愛称で呼びたいと考えた。スタッフみんなで
頭をひねった。「冬のソナタを愛する皆さん」では長すぎる、「冬ソナファン」では軽い。
妙案がなかなか出ない。
冬のソナタなので、ソナチストではどうかという声があった。何かナルシストの匂いがするなあ。
「ハリーポッター」のファンはポッタリアンだと知った。では、そのままであればソナタリアンか。どこか、オバタリアンと音が似ているのが気になるところ。
ソナチアンではどうだろうか。音はきれいだ。短くてすっきりしている。この案に決定した。
「冬のソナタへようこそ」と言う番組で、小野アナにソナチアンと呼びかけてもらったのである。
反響はおおむね良かった。が、中には少女趣味で気恥ずかしいという声がキャリア女性を
中心にあったことも事実だ。だが、このドラマの世界に浸るときだけは、夢見る頃に
もどってもいいじゃないのと、私は内心思った。
今、私は新しいソナチアン像をもっている。それは、冬のソナタで韓国ドラマに関心をもち、
以降たくさんの韓流を視聴してきたものの、ここへ来てやはり「冬のソナタ」が一番と再確認してきている人、このドラマの素晴らしさを他との比較で考えず、これ以外のドラマには目がいかない人たち、を「ソナチアン」と呼んであげたいのだ。
よかったらランキングをクリックして行ってください
人気blogランキング