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死者のつぶやき

レモン色の霧よ


黒い大きなサングラスがとにかく目立つ。異様な妖気すら漂わせて、玉木宏樹さんは私の前に現れた。1977年の初夏のことだった。まもなく禿ていくのではないかと予兆させる気配の髪をロングにした細身の若作りのオッサン。サイケデリック調の土派手なシャツにレザーベスト重ねてカブいたファッション。色が黒くて、お世辞にも品のいい顔とは言いかねる面差し、正直言って不逞の輩にしか見えなかった。後で、神戸のシティボーイと知ってハイカラな町とは全然似合わないミュージシャンと印象づけられた。スリムな玉木さん本人の後ろには太っちょの気の良さそうなネクタイのおじさんが汗をふきふきついて回る。まるでドン・キホーテとサンチョ・パンサだ。
あのサングラスの人は誰?と周りに聞くと、学校放送音楽斑の座付き音楽家という。ついて回っている人はマネージャー。ギョーカイというところは、こういう「奇天烈な」人種が出没するのだと、放送現場に足を踏み入れたばかりの私は感心した。

玉木氏が口を開くと、へらへらと言うかちゃらちゃらしていた。くだらない駄洒落、会話に混じる隠語、毒舌めいた音楽批判、を吐く。
若造の私などは、むろん眼中にあるはずがない。正直言って傍若無人な玉木さんだった。

だが先輩ディレクターに聞くと、本質はまったく上部(うわべ)と違うという。芸大のヴァイオリン科を出た優秀な音楽家で、作曲は山本直純に師事して、自分の芸風を作り上げた一廉(ひとかど)の人物という評価であった。かの毒舌は、自分はこんなに才能があるのに誰も使わないという音楽業界への憤懣から発したものだと、これも先輩が解説してくれた。

最初の出会いの日から三ヶ月ほど経った頃、ようやく初めて口をきいた。サングラスの奥の目は意外に美しく可愛い瞳だと思った。だが、たえずくるくる動いて、まるでおびえた小動物のようなせわしさ。どうも、この人は人見知りが激しいらしい。
2年後、玉木さんは 昭和52年のNHK全国学校音楽コンクールの中学校の部の課題曲を担当することになった。本当は中学生の部でなく高校生の本格的な合唱曲を手がけたかったようだ。与えられた詩は可愛いキャンプの青春歌だった。

♪白樺林を通る風は 霧をしずかに消しながら 朝の光を作るのです
太陽をレモン色にする霧よ 若者を称えているような霧よ
なにかいいことありそうで 望みさわやか キャンプの朝です

メロディの美しい、歌いやすい合唱曲だった。普段、見せているツッパって尖がっている玉木さんとはまったく違う可愛い仕上がりの曲に、いささか驚いたことを思い出す。
それから、しばらくして、玉木さんは朝のテレビ小説「おていちゃん」の音楽も担当する。本人の望むとおりだんだんメジャーになっていった。その後のことは詳しくは知らない。先に書いた先輩ディレクターは玉木さんとほぼ同年ということもあって仲がよく、消息はその先輩を通じて聞いた。毒舌と派手な服装は相変わらずで、ジョークの連発はますますはげしくなったと聞いた。世界で初めてのエレキヴァイオリン奏者になったという話も聞いた。

2日前の夕方、「玉木が死んだ、らしい。さっきライターから連絡があった。葬式は家族だけですませらしい」と先輩ディレクターが疲れたような声で電話してきた。玉木さん自身は11月に入院したときから最期を覚悟していたようだ。年末に再入院するときに、ネットに次のようなセリフを入れた。
 「私は1月8日午後7時40分肝不全にて永眠いたしました。この世でのおつきあい、皆様ありがとうございました。あの世からつぶやいています。 」
あの世からのツィッターとはいかにも玉木さんらしい。 最後まで、センチメンタルな部分を見せたくなかったのだろう。その意気に感動する。                                                                  合掌

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by yamato-y | 2012-01-18 18:20 | Comments(0)
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