今夜、勉強会
中堅の社員たちに今夜話をする。
この時期、来年度の企画が募集されている。来年の自分の仕事を確保する時期だ。
自分で立てた企画で勝負できれば冥利に尽きるが、それができなければあてがい扶持のつまらないネタで1年暮らすことになる。ディレクターというのも表現者のひとつだ。実存をかけて表現を生み出すことがなければ、こんなハードな仕事をやるのは採算があわない。まして、他人が立てた企画を作ることはできるかぎり避けたい。うちの社員たちも結構まなじりを決して企画つくりに追われている。
そんななかで、勉強会を仕掛けたのはワケがある。
最近、彼らが作った番組が心に沁みない。見終わったあとの余情などを感じる作品がない。どこにでもあるような誰でも作れるような凡庸な作品が多いということが気になって、そのことに警鐘を鳴らしたいと思って、勉強会を呼びかけた。
テレビの番組は華やかな話題になるものを作ることが第1と思われているようだが、現場ではそうではない。深い取材、堅牢な構成、正確にして滋味のある表現、これらが結集して出来上がる全体性。なにより、言いたいこと伝えたいことがくっきりと浮かび上がっていること。つまり作者のメッセージがあいまいでない。こういう番組が仕上がったとき、制作者は誇らしく思う。さらに他者によって評価を得たとき、自分本位の作品でなく世に広がっていく作品になりうる。
上述のような「作品」が中堅社員たちのなかから最近あまり生まれてこないのはなぜか。と問いかけてみようと、今夜の勉強会を思い立った。
そこへひとつの情報が舞い込んだ。知人からのテレビ取材を受けた体験記である。最近、ある出来事で知人は若いディレクターの取材を受けた。そのときの対応、態度、マナーのひどさにすっかりまいったという顛末が書かれてあった。まるで戦前の羽織ゴロだ。手紙を読んでいるうちにムカムカした。よほど、この当人を呼びつけて叱りとばしてやろうかと思ったがとどまった。このケースは極端だが、これに近いことを私の年少の仲間たちもやってはいないだろうか。そのことを今夜問いかけたい。実は、番組作りに肝要なことは高いモラルが求められるということ。
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