痛烈な批判もまた宝
きれい事を言っているのでなく、痛烈な批判もまた宝だとこのブログのコメントを読んでそう思った。
日曜夜のETV特集を見たBさんからの感想があったのだ。番組を見ても感動しなかった。番組は焦点がぼけて散漫な感じがしたという。主人公の杉本博司がキャラクターとして掴みどころがなく、なかなか感情が移入しにくかった。登場人物も文楽関係者のいろいろな人がいるが、どれも中途半端な気がしたそうだ。簑助師匠の熱演だけが心に残ったようで、彼を中心に構成すべきではなかったかという「提案」まであった。エモーショナルなナレーションは逆に浮いた感じがしたと、そのBさんは正直に痛烈に批判してくれた。
杉本さんのクールなキャラクターになかなか共感できなかったという弁を読んで、目からウロコが落ちた。3月公演予定が、大震災のため8月まで延期となったこと。いや正確には無期延期になったが、杉本氏の努力で8月実現になったという出来事などに目を奪われていたから、そのキャラクターまでの吟味が弱かったのかもしれない。ナレーションに関しては、仕上げの頃には蓄積した疲労が逆にハイテンションを生み出し、あのような結果に至った。この責任は私だ。
とにかく長かった。取材期間が半年を越えるというのは、ここ10年なかった。久しぶりに長丁場のロケをかかえ、経済的なやりくりを念頭に置かなくてはならない体勢が、番組の本質を取り違えることになったのだと、自分なりに総括する。
Bさんのご指摘を参照して、少し、冷静に考えてみよう。正鵠を得たきつい批判はずしんとこたえるが、本質をついているから反論できない。むしろ、この批判を土台にして、番組全体をもう一度よく検討してみようと思う。
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